月の妖精
そろそろそろ
月の動きや天候に敏感である。
皆既月食の日には彼はどこかに隠れていた。
ぐらぐらぐら…
そう、彼は予知していた。
かりかりかり
闇澪がまるで人魚のように柔らかく体をくねらせて水中を進む。
濃紺色の競……に身を包み、腰まで切れ上がったハイカットのラインから伸びる脚を鞭のようにしならせて。
薄紫色のゴーグルを外すと、隣に来た女性が
「20代?」
と聞いてくる。
髪を乾かして、バッグに入れて持ってきたパンをもぐもぐと口に入れる。
今日はお布団を干した。
夫がゆっくり寛げるように。
しかし、お布団を干していると
家の妖精が手伝おうとして乗っかってくるという。