3月30日から4月10日までスペイン遠征に我がベルマーレ南足柄の3年生と行ってきました。

僕にとって初めてとなる経験。それは日本で自分が指揮をするチームと一緒にスペインに行く(戻る?)こと。

こんな素晴らしい経験をさせてもらえたクラブ、選手、そして保護者の皆さんに感謝です。


インプットがありすぎましたね。それを自分の中に溜め込んで腐っては体に良くないので、徐々にですがアウトプットしていきたいと思います。ここでは、日本人、スペイン人という表現を使うことがありますが、それはあくまで日本人=南足柄の選手、スペイン人=現地で見たり、対戦したスペイン人のチームの選手となりますので、日本人はこうで!スペイン人はこうだ!と決め付けたり、したいわけではないですし、一括りしたいわけではないということは予めご理解頂ければと思います。


あくまで僕個人の感想です。


まず、今回の遠征では「日本人選手の良さ」について感じることがたくさんありました。僕はスペインで指導者の勉強をして、現在日本に帰って指導させてもらっているわけですが、「どうやったら日本人でスペイン人に勝てるのか?」を考え続けていました。同時に「スペイン人に日本人は負けていない!」とも思っていました。


僕ら南足柄は、チーム立ち上げから試合の主導権を握るサッカーをずっと目指してやってきました。遠征前に「それが通用するかしないかは分からない。どちらに転んでも良い経験になる。駄目だったらどうすれば良いかを考えればいいし、通用したら更に改善点を見つければよい」と考えていました。


そして、結論から言うとボール保持に関しては日本人の方がきめ細かく、繊細で本当に上手いということ。


フィジカル差のある相手に最初はプレッシャーの速さに面食らいましたが、試合を重ね、慣れてくるとほとんどの試合でボールを保持し、主導権を握ることが出来ました。これは良い意味でかなり驚きました。

プレッシャーがきつくなるとワンタッチやワンツーで外す。ボールを持って横に外す。相手の間でボールを受ける。練習でやってきたことが試合で通用したのです。


僕らにボールを回され、相手チームはかなりイライラしていました。


ただ、常にディフェンスラインからビルドアップしようとするのでリスクもあります。そのリスクを背負ってやっているわけですが、つまらないボールの取られ方やつなぎでミスが出ると即失点になりました。しかし、選手達は何点取られても自分達のスタイルで戦おうとしてくれました。


それはスペイン人も驚いていました。現地で色々なスペイン人コーチや現地に住む日本人と話をすることが出来ましたが、彼らが口を揃えて言っていたのが、「あれだけ失点しているのにそのスタイルを崩さずやろうとする姿勢は本当に素晴らしい」と。


逆にスペイン人ではその戦い方でミスから2点取られた時点で、つなぐことを止めて蹴ってしまうでしょう。なぜなら「そのまま戦っていたら負ける」からです。選手が我慢できないし、やってくれない。そういえば僕もビルバオで同じ経験をしました。つなぐ習慣のない選手達にボールを大事にするサッカーをやろうとしたらどうなるか・・・


もちろんサッカーは「勝つためにプレーする」ので、僕はスペイン人の考え方が理解できます。ただ、日本人選手である彼らのことを考えると「最終的に通用するやり方、戦い方は自分達が主導権を握るやり方しかない」と信じていますし、それを続けることで精度を上げ、次につながると思っています。


今、目の前の相手に勝つために自分達のスタイルを捨てるのではなく、貫くことで未来につなげる。


ただ、こう考えること自体が僕のわがままなのかもしれませんが・・・


スタイルを変えて僅差になったり、もしかしたらそれで試合に勝ったとしても、次に何も残らないんじゃないか。だったらスタイルを貫いて、その中で改善点を見出していこうと思ったのです。出来ることは褒めて自信をつけてもらいたい。


スペイン遠征の選手の感想の中に、「スペイン人より自分達のほうが良いサッカーができた」というコメントがたくさんありました。良いサッカーを何をもってして良いサッカーと呼ぶのか曖昧なところはありますが、彼らの中でボールを持って、主導権を握るサッカーが良いサッカーであると考えているならば、それはスペイン人と比べても負けなかったということ。


ここは南足柄の長所であり、自信を持っていい部分だと再確認できたことは大きかったです。

しかし、内容としてはこちらが良かったのに、なぜ試合には負けてしまったのか?本当に良いサッカーを仮にできているとしたら、勝てないのに本当に良いサッカーなのか?


そこを次は考えて行きたいと思います。


是非、皆さんのご感想、ご意見もお聞かせ頂ければ幸いです。