ある朝、突然子どもが「学校に行きたくない」と言い始めたとしたら。
多くの保護者が経験してもおかしくない場面。
その裏には必ず理由がある。
焦って叱ったり、無理やり連れて行ったりすると、問題が長期化しやすいのが現代の不登校の特徴。
今回は、
・現代の不登校の状況
・不登校が多い時期や学年
・復帰のきっかけ
・保護者が今日からできる具体的な対応
を記述していく。
1. 現代の不登校は“過去最大”の規模へ。中学生では約1/14
文部科学省の2023年度調査によると、中学生の不登校は過去最多の約17万人以上。
割合にすると 約7.7%(約13人に1人) に相当。
これは10年前の約2倍以上。
「不登校=特異なケース」ではなく、現代の中学生にとって非常に身近な問題 になっている。
背景には、
★学校生活の複雑化
★SNSによる人間関係の疲労
★コロナ禍の影響
★学力格差の拡大
★部活動・行事負担
などが指摘されている。
つまり、どの家庭でも起こりうる問題。
2. 不登校が多い“学年・時期”は?
不登校は、特定の時期に起こりやすい傾向があるよう。
◎ 最も多い学年:中学1年生
理由は明確。
小学校→中学校の環境変化 が非常に大きいから。
★友達関係のリセット
★授業難度の上昇
★部活が始まる
★先生との距離が変わる
夏休み明けの9〜10月に急増するのも特徴。
◎ 次に多い学年:中学2年生
いわゆる “中2ギャップ” と呼ばれる時期。
★思春期真っ盛り
★自我が強くなる
★学校行事や部活の負担増
★大人とのコミュニケーションが難しくなる
これらが重なり、精神的に不安定になりがち。
そして、不登校が起こりやすいタイミングとして、
長期休み明け(夏休み・冬休み・GW)
→生活リズムの崩れが戻らず発生
席替えやクラス替え後
→人間関係のストレス
テスト前・進路を意識し始める時期
→学力・将来への不安
部活のトラブル・先輩関係
つまり、不登校は“突然起こる”ように見えて、実は積み重ねの末に起こっていることが多い。
3. 子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親は何をすべき?
ここからは、保護者が“明日からできる具体的な行動”を解説。
① まずは“否定も質問もせず、受け止める”
悪い例:
「甘えてるだけでしょ」・「理由を言いなさい」・「みんな行ってるんだから行きなさい」
これらは子どもの心を閉ざす。
良い例:
「そう感じているんだね、教えてくれてありがとう」。
この一言で子どもは安心する。
② その日は無理に学校に行かせない
不登校傾向の研究では、最初のSOSを無視されると“長期化リスクが急増”することが分かっているそう。
1日休んでも学力は落ちない。
しかし、心が壊れると何か月も回復が必要になる。
③ 身体の不調がないか確認する
腹痛・頭痛・吐き気は、心のサインであることが多い。
★朝だけ痛む
★学校を休むと治る
★日中は元気
これは“心因性の不調”の典型。
必要なら医療機関を受診しておくと安心材料かもしれない。
④ 原因を“無理に聞き出さない”
子どもは本当の理由を、自分でも整理できていないことが多い。
⑤ 家の中では“安心できる環境”に切り替える
★ガミガミ言わない
★とにかく否定しない
★「休んでいいよ、落ち着こう」のスタンス
精神的安全性を高めることが最優先。
4. 不登校からの“復帰のきっかけ”にはどんなものがある?
ここでは、実際によくある復帰パターンを紹介。
① 他の大人との関わりで変化が起きる
★スクールカウンセラーとの対話
★保健室の先生
★塾の先生
★趣味の習い事の先生
「親でも学校の先生でもない大人」は大きな力になる。
② 小さな成功体験
★1時間だけ保健室登校
★放課後だけクラスへ行けた
★友達と少し話せた
★家で“得意なこと”を見つけた
成功体験が積み重なると自己肯定感が戻ってくる。
③ 学校以外の場所で“自分の居場所”ができた
★図書館
★塾
★オンライン学習
★フリースクール
★家庭内で自分の空間があること
学校以外で自己肯定感が上がると、結果的に学校に戻りやすくなる。
④ 親子関係が改善したとき
不登校の児童の多くは「親に迷惑をかけている」という罪悪感を抱える。
親が責めない姿勢に切り替えると、子どもがふっと“動き出せる”ことが少なくない。
不登校は、「学校に行かない」という行動の一部分だけが目立つが、本質は“子どもが今の環境に耐えきれないというサイン”。
そのサインを受け止め、環境を整えれば、子どもは必ずまた動き出す力を持っている。
不登校はゴールではなく、新しい成長の入り口になることも多い。
親子で焦らず、一歩ずつ進むのが吉だと思う。
