日本に住む外国人が増加している。

街でも日常茶飯事で外国人と出会い、お店でも多くの外国人が働いている。

 

そこで思うのが、「外国人、日本語うまいな」ということ。

 

日本語は世界の主要言語の中でも 最上位クラスに“習得が難しい言語” とされているどうだ。

たとえばアメリカ国務省が運営する語学研究機関(FSI)では、日本語は 最難関カテゴリー(Category V) に分類され、英語話者が「専門的に扱えるレベルに到達するまで」約2,200時間かかると言われている。

 

彼らはそんな難しい日本語を相当頑張って勉強しているのだと思うと、頭が下がる。

 

実際、日本語学習において、何がそこまで難しいのか。

ここでは、外国人学習者の実感や言語学の視点から、日本語の難しさの“具体的な3つの壁” を整理して解説。

 

壁その1:文字体系が世界的に見ても特殊(ひらがな・カタカナ・漢字)

 

ほとんどの言語が文字体系を1種類しか持たないのに対し、日本語は 3種類同時運用 という世界でも珍しい構造をしている。

 

● ひらがな

→ 文法・助詞・語尾に使用

→ まず覚える量が多い(46文字+拗音)

 

● カタカナ

→ 外来語・強調・擬音

→ 日常会話で頻出なのに学習者は案外覚えづらい

 

● 漢字

→ 圧倒的な習得負荷。読み方が複数ある。

→ “音読み・訓読み”で混乱が起きやすい。

日本人でも苦手な人が多いのに、外国人にとっては狂っていると言わしめるレベル。

なぜ漢字が一番キツいのか。

外国人学習者が口をそろえて言うのがこれ。「読み方が1つに決まらないのが地獄。」

 

日本語の漢字は 意味と読みが複雑に組み合わさって成立している ため、初学者には理解が非常に難しい。

 

壁その2:文法構造が英語と逆である(語順の違い)

 

特に英語圏の学習者にとって、日本語の語順は大きな壁。

 

● 英語の基本:SVO

I eat sushi.(主語→動詞→目的語)

 

● 日本語の基本:SOV

私は寿司を食べる。(主語→目的語→動詞)

 

動詞が最後に来るため、英文法とは“思考の順番そのものを変える”必要がある。

 

そして、助詞の“は・が・に・で・を”を理解できなければ意味が崩れる。

助詞の使い分けは、外国人にとって日本語最大級の難関のひとつ と言われている。

 

壁その3:日本語の敬語体系が異常に複雑

外国人が最後まで苦しむのがこれ。

敬語が3種類あること。

 

尊敬語(相手を高める)

謙譲語(自分を下げる)

丁寧語(語尾を丁寧にする)

 

さらに、「場面」「相手」「組織」「上下関係」で使い分ける必要があるため、日本語ネイティブでも間違えるレベルの難易度。

 

 

その他、“外国人がつまずく”日本語の特徴として、

●同音異義語が多すぎること。

例:はし(橋/箸/端)

文脈で判断する必要があるため難易度が上がってしまう。

 

● 主語が省略されすぎる

「昨日行ったよ」

→ どこに?誰が?何の話?

文化的背景が分かっていないと理解できない。

 

● 曖昧表現が多い

「ちょっと」

「考えておきます」

「できなくはない」

ネイティブでも解釈が割れるほど曖昧さが強い。

 

つらつら日本語学習の難しさをあげてきたが、まあ日本人もいまいち使えないことが多いわけだから、外国人にとっては地獄そのものになるだろう。

 

それでも日本語をある程度まで使いこなして、異国の地で仕事までしてしまうのだから、事情はさておき、そこは尊敬できるな、と見ていて思う。