MTVの犯した罪 | ねこのつぶやき

MTVの犯した罪

昔々、まだMTVと言う物が存在しなかった頃、まれに作られたミュージック・ビデオ以外には音楽から何らかのビジュアル・イメージを得る為には、自分の想像力を使うしか無かった。

その想像の基となる物は、曲調、歌詞、そして自らの体験(過去やその音楽を聴いた時の)だった。

その結果、同じ曲を聴いても思い浮かぶイメージは人それぞれかなり違っていた事が多かったと思う。

例えば、オレは今でもZeppelin IVを聴くと、いきなり中学3年の7月の、夏にしては肌寒い小雨まじりの空を思い出すし、Pink FloydのAnimalsの場合は、いつか分からないけど、渋谷から帰る途中のバスの中から見た景色を思い出す。

必ずしも、自分が見たり経験した景色が頭に浮かぶとは限らない。

Lyle Maysの最初のソロアルバムに入っているClose To Homeと言う曲を聴くと、元カノの事を思い出すと同時に、行った記憶の無い薄曇りの草原の景色が頭に浮かぶ。
King CrimsonのRedに入っているStarlessを聴くと、多分その歌詞の影響からか、今にも雨の振りそうなどんより曇った空の下にある、暗い石畳の道のあるヨーロッパにでもありそうな田舎の町が頭に浮かんでくる。


・・・で、MTVである。

最初にMTVが出来て、それまで見る事の出来なかったミュージシャンの演奏している姿やイメージ映像を見た時はかなり興奮したけど、ちょっと経ってMTVが当たり前になってくると、その弊害の方が気になる様になって来た。

曲から得られるイメージが固定されてしまって楽しくないのだ。
そして、ほとんどみんながその同じイメージを持っている!

音楽は、本来持っていた『広がり』の大きな部分を失ってしまったような気がする。

(ごくまれに、昔からビジュアルにも大きな関心を示していたDavid BowieやPeter Gabrielの様なミュージシャンのビデオは、納得する仕上がりになっているけど・・・・)