実験の研究を行うには、細かい作業がいっぱいです。例えば、計算用のプログラムを書くことや、電子回路を作製することや、実験データの収集や処理をすることなどが挙げられます。若いときには、よくこれらが「重要」だと勘違いして、「実験系のここは自分なりに工夫をしました」、あるいは、「計算プログラムを自分で開発しました」と自己アピールをしょうとしたのです。もちろん、卒論レベルならば、「自分の独自の考えで何かをやりました」ことはとても重要なことだと思います。

しかし、こんなレベルに留まるのはダメです。大学の研究室の先生は、はっきりと言うのです。「そんなのどうでもいい!」修士の学生でも、それを聞くとショックを受けますね。

つまり、世の中の人々は、そんな細かいことが知りたいわけではありません。知りたいのは、どんな問題を解決したか、そして、それがどういう意味を持つのか、のことです。細かいことはどうでもよくて、自分のやったことが「どのように世界を変えるのか」をちゃんと言わないといけないということです。「つまらない論文を書かない方がいい」と先生が厳しく言った覚えがあります。それは、「思索のスケールを大きくしろ」という先生の教育だと今は思います。あれ以来いろいろと経験して、失敗もいっぱい味わったから、今は身に沁みるほどその重要性がわかっています。