『・・・東京大学大気海洋研究所の渡辺泰士(わたなべ やすと)特任研究員(研究当時、現在は気象庁気象研究所 リサーチアソシエイト)らの研究チームは、現代との違いが特に顕著な、約160万年前から120万年前の氷期・間氷期の周期に着目しました。
そして、改良されたプログラムを用いた大規模なコンピュータ・シミュレーションを行いました。
このシミュレーションには最新の天体力学の理論が導入されています。結果は、地質的記録のデータが示す約4万年の氷期・間氷期の周期をよく再現するものになりました。
このシミュレーションの結果を詳細に分析することで、研究チームは地球の運動の変化がどのように更新世前期の気候変動をもたらすのか、そのメカニズムについて、次の3つの事柄を明らかにしました。
(1)氷期・間氷期の周期は、地球の自転軸の方向と公転軌道の変化の振幅のわずかな違いによって決まる。
(2)氷期が終わるタイミングは、地球の自転軸の周期的な傾きの変化だけではなく、主に公転軌道上の夏至の位置(近日点)によって決まる。
(3)地球の自転軸の方向と夏至の位置の変化のタイミングに依存して、間氷期の長さが変わる。・・・』