同じ景色を見ているはずなのに、なぜこうも世界の見え方が変わってしまうのだろうか。空港からの帰り道、とぼとぼとメトロの駅から歩いていて、つい1時間前と、辺りの景色ががらりと変わってしまったことに気がついた。同じビル、同じ店、同じ通り、同じ空気なはずなのに、もう1時間前のような楽しい風は僕のまわりには吹いていない。

この5日間がこの研修中イレギュラーな体験だったとしても、この5日間に勝る時間はもう流れない。どれだけ仕事で充実しても、どれだけ学校が充実しても、そう断言できる。ホテルの部屋に帰るのが嫌で嫌で仕方なかった。まだ彼女の残像が部屋にあるし、それが少しずつ薄れてしまうのを、感じたくない。広いベッドがまた一段と広くなってしまった。

寝たくないし起きたくない。食べたくないし消化したくない。新しい空気を吸いたくないし、吐き出したくない。今この脳みそに焼き付いた彼女の1つ1つの表情、仕草が僕の全てだ。何度も写真を見返しつい1時間前の自分に戻ろうとしてしまう。

あと3ヶ月。耐える。たったの3ヶ月、そう思って。そして、がんばる。