4年生引退ブログ 第一弾! | 東京科学大学水泳部水球陣

4年生引退ブログ 第一弾!

 

 

子曰く、故きを温ねて新しきを知らば、以て師たるべし。

4年生として、後輩たちの「師」たるべく、漢気塾初代塾長の大垣さんから伝承を受けてから早2年、未熟ながら漢気に徹し、来る日もまた明くる日もその意義、その本質を見極めんと、ただひたすらに水球ボールを水面から持ち上げ続けてまいりました、4年の長屋です。4年生の引退ブログのトップバッターを務めます。いざ書くとなると恥ずかしいものです。

山あり谷ありの現役生活でしたが、OBさんの多大なる支援や大会運営関係者の方々のご尽力、そして学生支援課のサポートのもと、最後は学生リーグを迎えることができ、コロナウイルスの蔓延による様々な制約の中、同期や頼もしい後輩とともに、目一杯現役生活を過ごすことができました。まさに不幸中の幸いでありました。引退ブログの始めに、深く感謝申し上げます。

 さて、このブログを偶然目に留めた東工大入学を志す受験生の子のような、東工大水泳部にある「漢気塾」を知らない方からすれば、このおっさんは冒頭からなにを言ってるんだ、と思われるかもしれないので、説明します。

 漢気練とは僕を含めた一部の部員がやっている、練習後の「居残り練」のことです。毎回の漢気練の時間はせいぜい5分から10分程度です。僕は漢気練として、OBである大垣さんが行っていた、バディがプールサイドで出してくれるビート板まで、巻き足で浮いてボールを持ち上げる動作を7-9回繰り返した後、ヘッドアップダッシュをする「大垣さんスタイル」を採用していました。しかし、各自の練習スタイルについては高い自由度を認めており、現在では「高橋スタイル」のような独自の練習スタイルを確立する部員もいます。漢気練において大切なことは練習スタイルではなく、漢気を溜めること自体なのです。塾生は各々の心の中で、時にはその日の練習で出なかったタイムや外したシュートへの悔しさを噛み締め、また時にはわずかな日々の成長に顔をほころばせながら、漢気練に勤しみます。

 

 漢気練について理解していただいたところで本題です。

そもそも漢気とは一体なんなのか。漢気を溜めることにどんな意味があるのか。ただでさえ疲れている練習後です。なぜわざわざ自分の体に鞭を打つようなことをするのでしょう。漢気塾という存在自体に対する問題提起とも言えるこの問いは、某部員によって突然投げかけられました。

 

「あれやってて水球が上手くなるとは思えないんだけど。」

 

すごいこというやん。やめてよ。

本当に漢気練が水球の上達に結びつくのかどうか、やっている本人でありながら当時の僕は説明できませんでした。競技技能の向上のためにはむしろダウンに時間を使った方がいいのではないか。そんな考えが頭をよぎります。しかし僕は考えた末に、結局「大垣さんスタイル」を続けることにしました。というより、考えているうちに、現役生活のほとんどが終わってしまいました。確実に僕より水球が上手い大垣さんがやっていたことだから、やらないよりもやった方がいいだろうという安直な考えで、故きを温ねるというにはあまりにもお粗末なノリだったかもしれません。

 

 開催の可否もわからなかった学生リーグでしたが、僕にとっては思っていたプレーがいくつか実現できた大会でした。例えば成城戦の2P終了間際のカウンター、成蹊戦の左45からの中裏へのパス、そして順天戦での2本の5ぺです。どれもごく平凡なプレーですが、緊張でガチガチの僕にとっては難易度高めです。どれくらい緊張していたかは、一橋戦の不正入水からわかると思います。ごめんなさい。

試合中の小さなミスでさらに緊張して焦り、さらにミスを重ねてしまいそうになるくらい僕は気が小さいです。チームメイトも見かねてたくさん応援の声をかけてくれました。本当にありがたいことです。しかし、プールに入ってプレーをしている最中は誰も僕の目を見て声をかけてはくれませんし、手も握ってはくれません。そんな時、大丈夫だぞ、落ち着けよ、と励まし、背中を押してくれたのは、プールサイドで磐崎と一緒にやった漢気練の思い出でした。

 またそれは、倍率2.3倍の院試に向けて勉強をしているときも同じでした。辛い、やめたい、と思うたびに、それに抗おうとする何かに突き動かされました。プールサイドで何度も押し上げていたのは、実は苦境に立たされた負けそうな自分自身でした。疲れても、やめたくても、あえて同じペースで、前よりも多く。まさに漢気練です。

 最後に、同期に感謝をしたいです。4年間、ありがとうございました。お疲れ様でした。大学院に行っても、お互い頑張りましょう。

 

以上が僕の引退ブログでした。最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!