長女(猫)の話 ~出会い~
うちの長女(猫)
名前はリリ。もうすぐ12歳になる。
もう立派なおばあちゃんだが、ますますかわいい。次女(人間)ともかなり仲良しになった。(写真は次女に首飾りを着けられた時のもの。次女に着けられる分にはなぜかさほど嫌がらない)
このブログの昔からの読者さんはご存知かもしれないが、リリは4歳の時に大病に罹り、一時は余命1ヶ月の宣告を受けたことがある。そこから驚異の快復を見せ、現在12歳目前。生命力とは何か、生きるとは何かということを僕らはリリから教わった。
そんなリリとの出会いは、10年以上前。
maiさんと入籍してから半年経ち、ようやく一緒に住むことになってから僅か数日後。
僕「家具とか揃えていかなきゃね。まず何買いに行こうか。何欲しい?」
mai「……猫。」
僕「え…?」
mai「猫ちゃんが欲しい。」
僕「え…だって家具とか…」
mai「家具より猫ちゃん!黒猫に来てほしい!うちにはかわいい黒猫の女の子が来るんだー!!」
もう訳が分からない…
てか猫だけでもハードル高いのになぜ黒猫限定…?
家具よりとにかく猫を欲するmaiさん。勿論僕も猫は大好きだ。しかし実家で猫を飼っていた経験がある僕からすると、猫を飼った経験がないmaiさんの提案は些か急すぎる。猫を飼いたいのならまず家の準備をして、さらに猫を迎える準備をして満を持してから、と説得にかかるが、maiさんにしては珍しく譲らない。
仕方なく、実家で飼っていた猫がお世話になっていた動物病院に一応聞いてみたら?と提案をしてみる。実家で飼っていた猫はその病院からもらわれてきた子だったからだ。
そしてまたもやmaiさんにしては珍しく、速攻で動物病院に電話をしだす。普段から腰が重いmaiさんとは思えない行動力…。てかそんなに猫ちゃん飼いたかったんだ…。
動物病院からは、今病院のほうにはもらっていただける猫ちゃんはいないけど、知り合いの猫をたくさん飼っている方を紹介してくださることに。そこに生後半年くらいのおとなしい子猫ちゃんがいるはず、とのことだった。
maiさん、速攻でその方にも電話をする。そしてなんと、あれよという間にその日のうちにその方のお宅にお伺いすることに。僕からはmaiさんに「家はまだ何にも準備できてないんだからね!本当に今日は見に行くだけだからね!!」と念を押す。
そしていざ、猫マスターさん(仮称)のお宅へ。
そしたらいるいる、猫ちゃんが十数匹!猫好きの僕らにとってはまさに天国。
聞けばこの猫マスターさん、地域の野良猫を捕獲して引き取り、自費で避妊手術を受けさせるというボランティア活動をたった一人で行っている、非常に尊い方だったのである。そして世間的にはもうご高齢と呼ばれる年齢でありながら、それを全く感じさせないパワーとバイタリティー、さらに現役バリバリでお仕事もされている。話しているとこちらまで生命力を分けてもらっている気がしてくる、そんな不思議な方だった。
そしてその時に猫マスターさんに紹介してもらったのが、当時まだ生後半年ほどの小さなリリなのでした。
なんと、maiさんの予言通り黒猫でしかも女の子!!これはもう、運命を感じずにいられません。
こうしないとすぐ逃げてしまうからと、ケージに入れられその中で固く丸まって俯いていた小さなリリ。
病院からは「大人しい子猫ちゃん」と伝えられていたが、猫マスターさん曰く「この子は人見知りでとても難しい性格よ。警戒心も強くて、うちの中に入ってくるまでに数ヶ月かかったの。病院でおとなしかったのは緊張して固まってただけ。猫は飼い主を選ぶっていうけど、どうかしらね…」とのこと。しかしここが猫マスターさんのすごいところで、「もし引き取ってからやっぱりダメだと思ったら、またうちに戻してくれていいから。それは全然悪いことじゃないし、前にもうちに出戻ってきた子はいるのよ!」とのこと。この懐の深さときたら…
「なでてみる?」と言われ、ケージの中でこわばっているリリに恐る恐る手を伸ばした僕。その時のことは今でもはっきり覚えてるんですが、僕が頭をなでると、それまで固まっていたリリが顔を上げて僕の方を見ながら、気持ち良さそうに目を細めたんです。
それを見た猫マスターさんが一言
「これはあなたを選んだわね」
この一言で僕らとリリの運命が決まりました。
はっきり言って、リリを一目見た時から2人とも一目惚れだったんですが、この一言でリリと一緒に暮らしていく決意が固まった、というべきかもしれません。
また、後々リリの性格を知れば知るほど、初めて会った相手になでてもらって気持ち良さそうにするなんてことは、ほぼあり得ない子なんですね。運命ってこういう時に使う言葉なのかと、今でも考えることがあります。
その後、家でちゃんと猫を迎える準備をするために、1週間後にリリを迎えに来ることを猫マスターさんに伝えて帰路に。そして早速その足でホームセンターに行き、最低限の猫グッズを購入。
そして次の日、「今日から猫グッズを優先して揃えていこう」という話の筈が…
maiさん「もう猫ちゃん迎えに行きたい…」
…やっぱりそうなりますよねー…
すぐに猫マスターさんに連絡し、結局その日のうちにリリを迎えに行きました。
猫マスターさんは少し驚きつつも大変喜んでくれて、「嫁入り道具よ!」と言ってキャットフードや猫砂、おもちゃなど大量の猫グッズを持たせてくれました。さらには、引き取ってからの最初の診察とワクチン接種、避妊手術の費用までも全額負担すると申し出てくださいました。聞けば、人に猫を譲る時には毎回必ずそうしているとのこと。本当にただただ尊敬に値する方です。
こうして、リリに初めて会った次の日から、僕らは3人家族になったのでした。
今はそんなリリにも妹ができてお姉さんになりました。お姉さんというよりは、日に日にお互い似てきていて、まるで双子のようです。
そしてもうすぐ12歳か…
感慨深いなぁ…
てか、巨大になったな……