良い楽器・良い音色とは・・・②
昨日のブログの続きというか、まとめを書かせていただきたいと思います。
数百年前に製作され、現代では数億円の値段がついている、いわゆる「名器」と呼ばれるストラディバリウスなどの楽器(ヴァイオリン)と、現代に作られた楽器とでは、本当に音色に違いがあるのか?というお話です。
このお題の元になったYAHOOの記事(前日のブログ参照)のように科学的な根拠があるわけではないのですが、僕の個人的な見解からの意見を以下に述べさせていただきます。少し長くなりますが、お読みいただけると大変嬉しいです。
まず、楽器の「音色」の良し悪しは、「音楽」の良し悪しを判断するのと同じく、個人の感覚に多分に左右されるものであると思います。そして、時代が移り変われば、その時代ごとに求められるものも変わってくると思います。
少し極端な例えですが・・・何百年も味とレシピが変わることなく受け継がれてきた、その当時非常に美味と言われてきた料理と、現代において非常に美味と言われている料理を、現代人の我々が食べ比べた時に、どちらをおいしいと感じるのか・・・ということを想像していただければと思います。
答えは人によっても違うでしょうが、この場合で言えばおそらく「現代の料理」と答える人のほうが多いのではないでしょうか(勿論実験はしていませんが・・・)。もしそういう結果になるのだとしたら、それは前回書いたブログの中の、立花さんからの回答にあった「職人の技術の蓄積による質の向上」も大いに関係していることと思います。
個人によって異なる感覚や、楽器製作技術の向上などについて考えると、いわゆる「名器」と「現代の楽器」とで、誰もがそれと判るような明確な音色の違いがあるとは考えにくいと思います。さらに言えば、名器の「音」だけにスポットを当てた時に、その音色に数億円の価値があるのかと言われれば、僕の見解としては「NO」と言わざるを得ません。
しかしそれは、楽器の「音」だけに注目した場合の話です。
ヴァイオリンという楽器の恐ろしいところは、数百年前の楽器が完全な形で現存しており、さらに、その楽器がバリバリの現役選手であるという点にあります。特に僕らのような笛吹きからすると、それはとんでもない話なのです。
「ストラディバリウス」や「グァルネリ」は、はっきり言うと「歴史的遺産」なのです。遺産なのですが、ただ博物館に飾られているような遺産ではなく、「現役で楽器であり続ける遺産」なのです。
だから、これらの名器に数億円の価値があるのは、遺産としての価値が高いという要因が大きいのだと思います。
数百年前当時に傑作と言われた楽器が現存しており、それを現代にもそのまま演奏で使用している、という「文化」に、数億円の価値があると言えるのではないでしょうか。
立花さんの奥様からの回答にあった「長い歴史を持つ楽器がなくなるようなことはさびしいし、それは音楽の歴史なのだから、これから時代が変わっていっても、ずっと残っていってほしいなと思います」という言葉にもあったように、これらの楽器を演奏して受け継いでいくということは、その文化を守ることにもつながると思いますので、私達が楽器の「音色」だけに着目して音楽を聴くことは、「音楽の文化を守る」という視点から見ると、大変危険なことなのかもしれません。
しかし本音を言えば「ウン億円とかはさすがに高すぎだろ・・・」と、どうしても思ってしまいますけどね・・・。
余談ですが、以前知り合いのチェリストの方から意見を求めた際には、その方は「ロストテクノロジー」のことを引き合いに出して、「やはり名器が出す音色は現代の楽器とは違う」と仰っていました。
やはり様々なご意見があるようです。
この件については、これからもいろいろな方からご意見を聞いていきたいと思っています。
やっぱり、楽器や音楽っておもしろいですねぇ!!
REN
数百年前に製作され、現代では数億円の値段がついている、いわゆる「名器」と呼ばれるストラディバリウスなどの楽器(ヴァイオリン)と、現代に作られた楽器とでは、本当に音色に違いがあるのか?というお話です。
このお題の元になったYAHOOの記事(前日のブログ参照)のように科学的な根拠があるわけではないのですが、僕の個人的な見解からの意見を以下に述べさせていただきます。少し長くなりますが、お読みいただけると大変嬉しいです。
まず、楽器の「音色」の良し悪しは、「音楽」の良し悪しを判断するのと同じく、個人の感覚に多分に左右されるものであると思います。そして、時代が移り変われば、その時代ごとに求められるものも変わってくると思います。
少し極端な例えですが・・・何百年も味とレシピが変わることなく受け継がれてきた、その当時非常に美味と言われてきた料理と、現代において非常に美味と言われている料理を、現代人の我々が食べ比べた時に、どちらをおいしいと感じるのか・・・ということを想像していただければと思います。
答えは人によっても違うでしょうが、この場合で言えばおそらく「現代の料理」と答える人のほうが多いのではないでしょうか(勿論実験はしていませんが・・・)。もしそういう結果になるのだとしたら、それは前回書いたブログの中の、立花さんからの回答にあった「職人の技術の蓄積による質の向上」も大いに関係していることと思います。
個人によって異なる感覚や、楽器製作技術の向上などについて考えると、いわゆる「名器」と「現代の楽器」とで、誰もがそれと判るような明確な音色の違いがあるとは考えにくいと思います。さらに言えば、名器の「音」だけにスポットを当てた時に、その音色に数億円の価値があるのかと言われれば、僕の見解としては「NO」と言わざるを得ません。
しかしそれは、楽器の「音」だけに注目した場合の話です。
ヴァイオリンという楽器の恐ろしいところは、数百年前の楽器が完全な形で現存しており、さらに、その楽器がバリバリの現役選手であるという点にあります。特に僕らのような笛吹きからすると、それはとんでもない話なのです。
「ストラディバリウス」や「グァルネリ」は、はっきり言うと「歴史的遺産」なのです。遺産なのですが、ただ博物館に飾られているような遺産ではなく、「現役で楽器であり続ける遺産」なのです。
だから、これらの名器に数億円の価値があるのは、遺産としての価値が高いという要因が大きいのだと思います。
数百年前当時に傑作と言われた楽器が現存しており、それを現代にもそのまま演奏で使用している、という「文化」に、数億円の価値があると言えるのではないでしょうか。
立花さんの奥様からの回答にあった「長い歴史を持つ楽器がなくなるようなことはさびしいし、それは音楽の歴史なのだから、これから時代が変わっていっても、ずっと残っていってほしいなと思います」という言葉にもあったように、これらの楽器を演奏して受け継いでいくということは、その文化を守ることにもつながると思いますので、私達が楽器の「音色」だけに着目して音楽を聴くことは、「音楽の文化を守る」という視点から見ると、大変危険なことなのかもしれません。
しかし本音を言えば「ウン億円とかはさすがに高すぎだろ・・・」と、どうしても思ってしまいますけどね・・・。
余談ですが、以前知り合いのチェリストの方から意見を求めた際には、その方は「ロストテクノロジー」のことを引き合いに出して、「やはり名器が出す音色は現代の楽器とは違う」と仰っていました。
やはり様々なご意見があるようです。
この件については、これからもいろいろな方からご意見を聞いていきたいと思っています。
やっぱり、楽器や音楽っておもしろいですねぇ!!
REN