バランスがいいってことだと思います。どんな状況にもきちんと真ん中に立てるということ。そのためには引き出しが多いってことが必要だと思っています。引き出しの多い人はそれだけ、多くのことに対応できるってことです。だから、バランスを崩さない。どんなにすばらしい才能を持っていても、バランスの悪い人は大成しません。一時的に活躍することはあっても、すぐに行き詰ってしまいます。

 バランスをとるために私がいつも意識していることは、常にふたつの矛盾することを同時に意識することですね。例えば、緊張したほうがいい場面で、同時にリラックスするとか。そういう相反することを同時に出来るときというのは、不安はまったくないんですね。どんな目がでても対応できる準備が出来ているんです。

 バランスの悪い人というのは(私もそうですが)どこかが固い。そう思います。だから、なにかが邪魔をして柔軟な対応ができなくなってしまう。例えば、被害妄想とか、過信とか。なにかにとらわれているから、反対の目が出た時にこけてしまう。前にばっかり進んでいく人は、足を引っ掛ければ簡単にバランスを崩すのと同じですね。

 あとは準備がどれだけできているか、ということでしょう。5年ほど前に私の上司だった方もいつもいっていました。「仕事は仕込み、仕込んで、仕込んで、仕込みまくれ」本当だと思います。当時も私はいつも3ヶ月くらい先を考えて日常の業務をしていました。今でもそういう癖がついていて、先につながるかどうかが行動の基準になっています。