「無題」...
人は みな 夜ねむるのだ.
ねむったまま あの世へ旅立つとき
魂が 肋骨の中で
かくれんぼをし
パチパチ爆ぜる 光の粉を食べながら
覚めていた頃を眺めるのだ
笑ってしまった リンゴの皮や
教師のズボンのポケットの しみや
にぎにぎしい 我らの記憶の洪水に
宇宙の一点が ピッカと光り
鍵のない肋骨の 清潔な一部屋で
自分の 変な重量に
だんだん 深くなる睡眠に
愛(いと)しいものは なんだったけ と
それでも そっと
おやすみ と あいさつすれば
蝶の 羽音のやさしく きこえ
肋骨の部屋にも風が ながれ
風は やさしく すずしく 透明で
おやッ
光が ピッカ と
合図する
追記 これからの詩の発表はすべて
「老いのうた」とし、NO.をつける
ことにしました。
今回が3作目なので「老いのうた」3
としました。 よろしく。