「差し詰、家出したはいいが当てもなく困っていた感じ?」と窓の外に目を向けて聞いてみた。
「そんなありふれた話しではないかなぁ」
「まっ話したくなければ今は話さなくてもいいけど、何処か住む所はあるの?」
上目遣いに少し微笑みながら首を横に振る。
「もしかしてずっと一人?一人になって長いの?」
「うーん、一年ぐらい?」と他人事のようにつぶやく君。
雨に濡れて子猫のようだったが、捨て猫のようには見えなかったし、どこでどう何をしていたのだろうと思いを巡らせていたところに、さっき注文した日替わりランチが運ばれてきた。
「うわー美味しそう。いただいていい?」
「どうぞ」
お互いにお腹がすいていたからか、ただ黙々と食べている。