僕らがメディアビジネスに惹かれる理由とその困難さについて | 忘れたくないこと(ENOLOG)

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忘れたくないことを書きます。

注:本記事は非常にマニアックかつ、超長いエントリーです。ごめんなさい!


起業する際、いくつかの事業テーマを考えていたんですが、ついメディア運営を選んでしまいました。

いい歳したおっさんが起業するにはBtoBが定石で、
(そういうテーマもなかったわけではない)

馬鹿なんじゃないかと方々で言われました。

それでもなぜメディアを選んでしまったか?

それはもう好きだからとしか言いようがありません!

いよいよ本格的に運営がはじまるタイミングなので、初心を残すという意味で、メディアビジネスの何に魅力を感じ、どういうチャレンジをしていると思っているのかを、書き残しておきたいと思います。

どうかこの初心を忘れませんように。


メディアビジネスのどこが好きか?

*ここでは、メディアという言葉を、狭義の、送信者1:受信者Nのメディアを想定してつかっています。(CommunityやTool型のものを含んでいません)


シンプルにいえば、

『メディアは産業の進化にダイナミックに貢献できる』


ところです。

どういうメカニズムかといえば、

『消費者ニーズを明らかにして、産業にはたらきかけることで、オープンでフェアな競争をつくり、供給を変え、産業の進化を促す』

ということだと理解しています。


たとえば、とらばーゆ。

最初から多種多様な仕事が掲載されていたわけではありません。

当時珍しかった女性のフルタイムの営業職の募集に応募が殺到し、そこから採用した人が活躍し、その事例をもって、一社ずつ企業を口説いていき、女性向けの多様な転職の機会が定着していったそうです。

情報誌というメディアの中で、ユーザーニーズが可視化され、ユーザーニーズを武器に、一社ずつ供給をかえていったことが、産業の進化につながったということだと思います。


雑誌時代の、リクルートの情報誌は、見えにくいマーケット全体を示す疑似市場のような役割があり、疑似市場の中でのユーザーニーズが可視化されていました。

そして、リクルートの歴史は、こういったユーザーの声で、産業を変えていった事例にあふれていて、

諸先輩方々から、神話のように聞かされていたこういったお話しはとても影響を受けました。


たとえば、VERYの電動自転車プロジェクト

参考記事はコチラ

おしゃれなママが増える中、毎日使うのに最後までダサいまま残っていた、ママチャリ。
読者の不満を聞き、VERY編集部から、自転車メーカー各社に働きかけ(!)夫婦で共有できるハンサム電動ママチャリとして、HYDEE.Ⅱをリリースし、大ヒットさせています。

(そしてリアルに湾岸の保育園はHYDEEだらけです。)

そして、何よりすごいと思うのが、オシャレな電動ママチャリというカテゴリーが認知され、今では、多くのメーカーが参入して、電動ママチャリの水準を押し上げているところです。



こういった動きは、特定産業でサービスを供給するプレイヤーでも、コンサルタントでもなく、

ユーザーのニーズを最も知っている

(そして田端さんが言うところの予言の自己実現能力が一定程度存在する)

メディアという立ち位置だから実現できる、使命のようなものだと思います。


赤すぐのママ営業マンが、ホットペッパーの若い女子社員が、取引先の社長に自分の体験から(しかも断定的に!)改善を提案し、商品のデザインや、居酒屋のメニューを変えてきている現場を何度も見たことがあります。


まだまだ日本の産業界は男性が中心で、ユーザーとかけ離れた人が供給サイドの意思決定をしていることが多くて、だからこそ、ユーザーニーズの代表としてのメディアに存在意義があるんだと思います。


(一般的なニュースメディアは、世の中一般を対象としているので、上記のような価値は認識されにくいものかもしれません。

でも、少なくても昔の新聞は、世論を伝え、社説を主張するなかで、知識層を動かし、実際に政治を変えていた側面があったのではないかと思います。)


メディアビジネスのどこが難しいか?

ネットでコンテンツの流通量は爆増した

一方でメディアをビジネスとして成立させるのは、特に今の時代、すごく難しいといわれています。

いうまでもなくインターネットの影響なのですが、どういう影響なのでしょうか。

発信の参入障壁が劇的に下がって、単純に注目が分散しているというのは、可処分時間のシェア低下として説明できる面はあると思います。

でも、たとえば、紙メディアがネットで発信も始めている場合、実は自社のコンテンツを届けられている人数の総数は大幅に増えているんじゃないでしょうか?

メディアには、コンテンツと流通の二つの側面がありますが、
コンテンツに関していえば、ネットの普及によって圧倒的にユーザーに届けやすくなっています。


たとえば雑誌の1コンテンツはその発行号の流通に限定されますが、ネットのコラムとして配信していれば、10年後に検索経由でユーザーに届くことも、ソーシャルで拡散して思わぬ人まで届くことも、ニュースサイト経由で広く届けることもありえます。


一昨年起こっていたまとめサイトの急増も、分散型メディアの議論も、おそらく今年ブレークするコンテンツのユーザー課金も、コンテンツを作ると流通させやすい=ユーザー規模を短期に拡大しやすいという流れだと思います。

ということは、すごくチャンスなんじゃないか?と思われるかもしれませんが、

そう、すごくチャンスなんです!という面と、全然そんなことないです!という面が両方あります。

チャンスなのはなんといっても、頑張れば短期間で多くの人に自分たちのコンテンツを見てもらえるようになる可能性があることで、実際にそういう事例がたくさん出ています。少なくても10年前は考えられなかったようなことです。

ただ、そんなに簡単でもありません。

いくらユーザーを集めることができたとしても、マネタイズがすごく難しいからです。


一方、WEBでメディアが広告で儲ける難易度は高い

メディア企業というのは、TV局、新聞、雑誌社にしても、給与水準が高いイメージもあり、人がいっぱい見ているメディアはすごく儲かるんじゃないか?と思われる方も多いかもしれません。

でも、ネットのメディアは人が見ているだけでは儲かる構造になりません。

たとえばですが、前職の某メディアで1000万UUまで頑張りましたが、紙メディアの1/10以下の売り上げしかあげることができませんでした。

なぜか?

それは流通を持っていないからです。

コンテンツを検索、ソーシャル、ニュース配信というプラットフォームに最適化することで、ユーザーに届けることはできても、あくまで他のプラットフォームの流通にのっているだけです。

ある記事を読みに来たユーザーは、能動的にメディアの記事を読みに来たわけではなく、たまたまたどり着いたユーザーです。たまたま来た人に記事とあまり関係のない広告を出しても人の行動に影響をあたえることは難しいです。

雑誌を手に取った人は、意思をもってコンテンツを探し読もうとしている読者です。そのため、広告の情報であっても、読者に影響をあたえうる情報でした。


基本的に広告主は、メディアの影響力にお金を払っています。


広告を出すことで、サイトにきてほしかったり、インストールしてほしいという直接的な行動や、
好意度を高めたいというような態度変容効果を期待しています。

ユーザーが能動的にコンテンツを探しにくる場所にならない限り、コンテンツそのもの以外に影響力を持つことができません。

そして、ネットではコンテンツ流通は検索、SNSなどのグローバルプラットフォームとニュースポータルに独占されてきました。

ブランドを高めて、なんとかTOPページにユーザーを呼び寄せたいと考えても、さすがにそんな風にはユーザーの行動を変えられません。

そのため100億以上の規模の広告売り上げをつくれていたメディアは、ネットではユーザーがまず見に行くようなヤフーや検索やSNSだけで、非常に二極化している構造になっていました。

(逆に、独自の流通を持つラジオ局、新聞、TVでは、今でも広告売上が100億いっている会社はいっぱいあります。)

だから、
マスメディアの人がネットメディアを運営すると、

ユーザーは増えてるように見えるけど

(でもわざわざ見に来るユーザーはそんなに増えていない)、

広告単価は下落しているようにみえ

(広告主に返せる広告効果が実は紙などの既存メディアの全盛期より落ちてる)、

ネットで、メディアは全然儲からないね

という構造になっているように思います。

まして、独自の流通を持たない以上、ネットメディアで、予言の自己実現を狙えるほどの影響力も、産業の進化に貢献できるような影響力を持つことも期待できるはずもありません。


で、どうするの??



上記の環境を踏まえて、代表的には下記の3つのチャレンジが試されているように思います。(あとはメディアコマースでしょうか。)

①規模の圧倒的な拡大で、広告の低単価を凌駕するシナリオ

プラットフォームの流通にのってとにかく規模を拡大し、規模の拡大が、低い広告単価を凌駕するというシナリオです。NAVERまとめにインスパイアされた、まとめメディアや、Buzzフィードにインスパイアされたバズメディアはこの流れでしょうか?

確かに、NAVERまとめのような7000万UU!というレベルの規模がとれれば、十分大規模なビジネスになりそうです。

②動画というリニアなコンテンツを広告とセットにして流通させるシナリオ。

NowThisやBuzzフィードもこちらが中心になるでしょうか。動画はテキストコンテンツと違い、リニアなコンテンツであり、少なくても、強制視認はさせることができます。既存の流通プラットフォームを活用しつつ、広告効果を担保することができるかもしれません。


③プラットフォームでコンテンツを見せ認知させることで、ユーザー課金につなげるシナリオ

コンテンツを流通させる中で、コンテンツの魅力やレベルを伝えていき一部コンテンツや、コミュニティの参加を課金していくというシナリオ。回線やレシピ検索という利便性に価値をずらして課金するのがこれまでの定石だったので、直接コンテンツに課金するながれがどこまで拡大するかはすごく興味があります。


さて、では僕らはどうするか。


どれもチャレンジングで面白いと思いますが、ユーザーニーズを可視化して、産業の進化に貢献するような新しいメディアの形を模索したいので、上記とは別のシナリオを考えています!




じゃあ、それって、どういう仮説なの??







そう思っていただいた方、
ぜひ一度、ランチやお茶でもしながらディスカッションしませんか??


(ごめんなさい!!このエントリーでは書きません。。。)


こんなに長い、マニアックな記事を最後まで読んで、しかもちょっと興味をもってくれたあなた!

きっとすごく話が合うんじゃないかと思います。

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