「なに?」
佐川くんは、いつものトーンでこの「なに?」の2文字を言った。
この2文字だけでも、胸が温かくなるのは、きっと__
言葉に迷った。
だって、何も考えずに、
ただあなたの声が聞きたかったから・・・・
そして、思い切って出した言葉は・・・
「え・・・と」
どうしよう・・・・・
何を言えばいいの?
「ん?」
「・・・その」
「うん」
携帯電話の向こうから、佐川くんの声が聞こえる。
そして・・・。
「た・・・ただ、佐川くんの、こっ・・・声が聞きたかった・・・・の」
「・・・・・」
っ!何言ってるの?私は・・・。
バカ?
心で思っていたことを、つい口に出してしまった・・・。
胸は、異常なほどにバクバクしている。
絶対「は?」って思われてる・・・。
佐川くん、何か言って・・・?
私、何も言えないよ。
そして、向こうから声が聞こえた。
「・・・そっか」
これだけ・・・か。
そりゃそうだよね?
ていうか、そっちのほうがいいかもしれない。
あっちは、私の今の言葉に対しては、特に何も思っていないみたいだ。
よっかたぁ。
バレちゃったかもしれなかった・・・。
「・・・あっ、今のは気にしないでね?」
「うん」
それで、私は思った。
「もう1回聞くけど、さ・・・佐川くんは、明日カラオケ行かないの?」
「・・・うん」
「そっか・・・」
「うん・・・」
行かないんだ・・・。
佐川くんが行くなら私だって行きたい。
「麻野は行かないんだっけ?」
「うん・・・。明日バーゲンだから」
「そのバーゲンがやる店の名前って、何?」
何でそんなことを聞くのかな・・・・?
「えと、{ピーチ}っていうお店」
そして、すぐに佐川くんは、
「それ本当?」
「うん」
佐川くんどうしたんだろう・・・・?
「それ、俺の姉ちゃんが働いてる店・・・。それに姉ちゃんそこの店長」
てっ店長!?
「うそ?!」
「本当」
私、よくあそこの店長見るけど、すっごい明るいいい人だなぁって思ってたら、
佐川くんの、お姉さんだったなんて・・・
「あぁ・・・。それなら昨日姉ちゃんが言ってたよ?」
「え?」
「明後日は、バーゲンだから、忙しいって言ってた」
「そうなんだ」
「その後に、洋服はなくなったらすぐに新しい洋服が入ってくるから、安心って・・・」
新しい洋服??
「じゃあ、8時くらいに行っても、まだお洋服は残ってるかな?」
「多分」
よかったぁ!それなら、カラオケに行った後でも間に合うじゃんか!
「よし!私、明日カラオケ行く!ありがとう佐川くん!」
「・・・うん」
あれ?なんだか声が小さいのは気のせい?
「・・・じゃあ、俺も行く」
・・・?え、今なんて言った?
俺も行く?
それって、もしかして、私も行くなら自分も行くって事?
「佐川くんも・・・来るの?」
「麻野が行くなら」
「・・・!」
麻野が行くなら・・・?
「どうして・・・?」
ドキドキしてたまらない。
「言わない」
「・・・え?」
「言わない」
い・・・言わない?
佐川くん、急に声が明るくなった?
麻野が行くならって・・・。
ねぇ・・・
佐川くん・・・・
それって、期待してもいいんだよね?
~つづく~
次回予告
ついに佐川と琴音の距離が縮まる??!!!??!!
次回もお楽しみに!