プロポーズのくだり、肩透かしのようなかたちになってしまい、申し訳ありませんでした。

ブログを容認してくれた夫氏ではありますが、まさか一世一代のプロポーザルを全世界に発信されるとは思っていないはず…
夫氏の心情に配慮し、あのような表現になったことをお許しください。



私のブログからは、意思薄弱でへなちょこな夫氏を想像されているかもしれませんが、それは結婚云々に限ってのこと。
基本的に立場は筆者よりも夫氏が上ですし、確固たる意思の持ち主です。

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因縁の旅行で訪れたのは英語圏。
飲食店でのやり取りや、交通機関の切符購入、観光案内所でのやり取りなど、旅行に必要な最低限のコミュニケーションだけだが、英語が必須であった。

序盤こそ積極性を見せていた夫氏。
しかし、段々とコミュニケーションを筆者に譲るようになった。



長距離バスに乗っていたときのこと。
途中休憩のために停車した。

筆者「出発は◯分て言ってたよね?」

夫氏「そうなの?聞いてなかった。」

夫氏は、英語を聞くことさえやめていた。
これについて問うとこんな答えが帰ってきた。

夫氏「役割分担だよ。各々得意なことをやった方が効率いいでしょ。」



筆者は、英語が得意なわけではない。

外国資本の企業に勤めてはいるが、基本的に国内の業務が多い。
たまに海外プロジェクトに当たり、メールもチャットも会議も全て英語になると、走り出したくなる。
あくまで旅行には不自由しないという程度。



果たして分業が必要なことなのか。
コミュニケーションの効率とは何たるか。

夫氏と海外に行ったのは2回だけだが、2回目も基本的に夫氏は英語を話さない姿勢であった。





もう一つ、夫氏が断固としてやらないことがある。

料理である。

学生時代は自炊していたと聞くが、一緒に住み始めてから現在まで、夫氏が料理をする姿を目にしたことはない。



ちょうど一年前、筆者がインフルエンザに罹り寝込んだことがあった。
「りんご…」と言う筆者に、りんごを剥いてくれたのがおそらく夫氏の料理最高記録。

筆者は、このとき夫氏が手つきが慣れていたことを見逃さなかった。

筆者「すごい上手!わたしよりりんご剥くの上手だよ!お料理もすればいいのに!」



これ以降、筆者は折を見て夫氏に料理を勧めた。

筆者「趣味として、何か一つの料理を極めるってどう?毎週土曜日はカレーの日、とか決めてカレーを極めるの!」

夫氏「うーん、いいや。」

筆者「凝り性だし、ハマったらハマるんじゃない??こだわりのスパイスを御徒町とかに買いに行ってガラス瓶並べたり。楽しそうじゃん!」

夫氏「料理は得意な人がやればいいよ。」



得意な人がやればいい。
いつかも聞いたセリフである。



夫氏「マクロ経済を学ぶといいよ。」

筆者「どういうこと?」

夫氏「農家さんが漁業もやったら非効率でしょ。一つの産業に特化すべきだということがわかると思うよ。」

筆者「言わんとしてることはわかった。」

夫氏「よかった。」

筆者「でもそれって、設備投資が必要だからだよね?料理の場合、キッチンも調理器具も調味料も揃ってるよ。素潜りしろとは言ってない。船に乗って漁に出てみたら?と言ってるだけだよ。産業じゃないから大漁である必要もない。釣り体験でいいんだよ。」



たしかに、家事も仕事も得意な人間がやった方が効率が良い。
しかし、その人の作業や負担を体験し、理解することもまた、チームには必要ではないだろうか。



英語も料理も、得意な人がやればいい。
夫氏はそう言うが、おそらくそうではない。

不得意だからやりたくない。
筆者に比べて劣ることはしたくないのが真意だろう。

男のプライドというやつだろうか。





先日のマツコの知らない世界は、“おうちカレーの世界”であった。

そこで示された興味深い調査結果。
「夫がカレーを作る家庭は夫婦円満」



筆者「ほら!旦那さんがカレー作ると夫婦円満なんだって!作った方がいいよ!」

夫氏「そうなんだ。でも、遠慮します。」



果たして、夫氏の確固たる意思が揺らぐ日は、キッチンに立つ日は来るのだろうか。