結婚相談所でお会いした男性について触れておこう。 

と言っても、もう記憶も曖昧である。 

 

そんな中、ここのところ続いた“東大”ネタで思い出した方がいる。 

 

 

 

結婚相談所のネット部門でご連絡いただいた方だった。 

 

同年代 

東大院卒 

メーカー技術職 

 

と申し分ないスペック。 

 

顔写真を公開していない方だったが、容姿に特別な要望はないため、お見合いすることにした。 

お見合いが成立すると写真が公開された。 

 

いかにも東大然とした雰囲気を感じたことを覚えている。 

B氏としよう。 

 

 

 

お会いした印象も、変わらず“いかにも東大”であった。 

 

とにかく目が合わない。 

とにかく言葉遣いが丁寧。 

(正しくは覚えていないが、一人称が「小生」くらいの丁寧度) 

とにかく飲み物を飲む。 

  

その程度の印象で、大きな問題はなかった。

しかし、筆者は徐々に違和感を覚え始める。 

 

 

 

B氏の勤務地は、首都圏からほど近い地方都市である。 

平日はその地方都市に住まい、週末には新幹線で首都圏の実家に帰ってくるそうだ。 

 

筆者「お住まいの場所、美味しいものたくさんありそうですね!」 

 

B氏「観光客向けですから、普段は大して美味しいものなんて食べられませんよ。週末に食べる母の食事が一番です。」 

 

 

 

筆者の趣味に触れ、運動の話題になった。 

 

筆者「Bさんは運動されるんですか?」

 

B氏「わたしは全くしません。」 

 

筆者「運動せずにスマートな体型を維持されてるのすごいですね!」 

 

B氏「わたしが健康と体型を維持できているのは、母の食事のおかげです。母には本当に感謝しています。」 

 

 

 

今度は旅行の話題。 

筆者は海外旅行が多いが、B氏は国内旅行のみだという。 

 

筆者「国内はどういったところに行かれるんですか?」 

 

B氏「歴史に残る将棋の対局の多くは、地方の旅館で行われています。」 

 

B氏の趣味は将棋である。 

 

筆者「そうなんですか。全然知りませんでした!」 

 

B氏「そういった旅館に母と泊まりに行くことが多いです。」 

 

 

 

一緒に過ごした時間は、1時間半ほどだっただろうか。 

その間、幾度となく“母”が登場した。 

 

 

 

筆者は察した。 

 

これは、ホンモノだ。 

 

 

 

以前、東大男子の女性観でも触れたが、高学歴男性は母親との精神的なつながりが強い場合が多い。 

しかし、ここまで母親への愛情を公にする男性に会ったのは、初めてだった。 

 

強烈なまでの、母親の存在感。 

 

“マザコン”の4文字が頭をよぎる。

 

 

 

筆者は自分を説得しようとした。 

 

お酒も飲まない、遊ぶ友達もいない。 

首都圏から新幹線通勤すると言ってくれている。 

スペックもお家柄も申し分ない。。 

 

母親への強い愛情? 

良い方向に転じれば、家庭を第一に考える良い夫になるかもしれない。 

筆者が母親に代わる存在になればよいではないか。 

 

 

 

回答期限ぎりぎりまで逡巡した結果、お断りした。 

先方からは、いいお返事をいただいていたようだった。 

 

 

 

 

マザコンを受け入れるべきだったのか。 

なぜわたしは妥協できないのか。

何をどこまで妥協すれば許されるのか。

 

終わりの見えない婚活地獄から逃げ出したい。 

そう思った瞬間だった。