不本意ながら完全に仕事に時間を奪われている。

この週末は、ランチ面接後、仕事。

 

早く怪しい医師の話を完結させなければ、他の方々の記憶まで薄れてしまいそうだ…。

 

*********

 

 

 

 

O氏の偽りの可能性は二つ。

 

①婚姻状況の偽り

Google検索で現れた別人とO氏が同一人物で、既婚者である可能性。

 

②氏名の偽り

O氏がGoogle検索で現れた別人の名前を語っている可能性。

 

 

 

いずれにしろ、会ってみなければわからない。

①であればその場で立ち去ればいい。

 

筆者は、O氏との面接を受ける決意をした。

 

 

 

場所は、銀座三越。

 

なぜ?

 

筆者は無類のアイスクリーム好きである。

O氏との電話でもアイスクリームが話題になったことがある。

そのとき、行きたいと考えていたアイスクリームの催事について触れたところ、O氏が乗った。

 

 

 

人の多い昼間の百貨店。

危険はあるまい。

 

 

 

警戒心を最大限にして、待ち合わせ場所へと向かった。

先に到着したO氏が休憩しているという、ベンチを目指す。

 

ベンチを見渡し、一周した。

いない。

 

もう一周して、ようやくそれらしき人を見つけた。

ここで、①の可能性はなくなった。

明らかに同姓同名の方とは、姿かたちは異なっていた。

 

 

 

しかし。

想像していた姿かたちとも大きく異なっていた。

 

第一印象は、ドラえもん

 

公称身長は168cmだが、おそらくそれに満たない。

気を遣ってローヒールのパンプスにしたが、無力。

 

プロフィール上の表記は“細め”の体型だが、首から肩までむっちりとお肉がついている。

ちょっと太っちゃって…という段階ではない。

 

 

 

そして、どこで売ってるのか甚だ疑問の上下スウェット。

手には、OLがランチ時に貴重品を入れて持ちそうな、小さなトートバッグ。

 

謎のセンスに、やはり未来からやって来たドラえもんを疑う。

 

 

 

筆者は、ネコ型ロボットにいざなわれ、催事会場へと向かった。

 

 

 

電話と同じ調子で、親しげに話している。

 

エスカレーターはO氏が先に乗った。

背が低い男性の習性だろうか。

 

振り返ったO氏に頬をつつかれた。

にわかに寒気が走った。

 

 

 

この時点で、O氏の嘘などどうでもよくなった。

嘘があろうがなかろうが、生理的に受け付けない。

 

 

 

しかし、アイスクリームは食べたい。

カップルと女子グループばかりのこの会場で、ソロ活動をする勇気はない。

アイスクリームを食べるという目的を達成するまで、我慢すればいい。

 

O氏「どれでもあられちゃんの食べたいのでいいよ。並んでいろいろお話しよう♪」

 

 

 

並んでいる間の話題は、主にO氏の恋愛遍歴であった。

 

O氏「客室乗務員も美容部員もレースクイーンも付き合ったことあるよ。」

 

ドラえもんが美の頂点の女性と並んでいる姿は想像しがたい。

やはり医師資格は無敵の印籠なのか、あるいは名古屋の美的感覚が異なるのか。

 

 

 

O氏「元カノに早慶、京都まではいるんだけど、東大はいないんだよね。」

 

筆者「東大が加わればコンプリートですか?今回はコンプリートできなくて残念ですね。」

 

O氏「やっぱり学歴って大事だと思うんだよね。学歴は一生ついて回る!と母に教え込まれてきたんだ。」

 

収集癖かと思いきや、学歴マニアだ。

これ以降も、数々の元カノの大学名を挙げ、校風と偏差値について語る。

 

 

 

ふと疑問に思う。

そこまで学歴にこだわりがあるのに、なぜご本人は中途半端な駅弁大学なのか。

母の教えは何処へ。




筆者「Oさんはなんでその大学進学したんですか?」


O氏「名古屋大学は届きそうになかったから。まぁ、親元を一度離れたいという気持ちもあったんだけど。」

 

 


 

そして、O氏の婚活もとい女漁りの遍歴もすさまじかった。

 

30代前半は合コンに興じ、年間100回を超える数をこなしたという。

数年前からアプリに注力。

同じカフェで1日中面接を繰り返したそうだ。

 

筆者「え?ひまなの??」

 

その暇人ぶり、明らかに若手勤務医ではないだろう。

 

 

 

O氏「暇じゃないよ。寸暇を惜しんで頑張ったんだよ!」

O氏「でも、もうそんな生活もおしまい。こうして最後の人にめぐり会えたから。」

 

これに騙される女性がいるのだろうか。

いたから数々の元カノ実績があるのだろう。

いや、そもそも元カノも妄想かもしれない。

 

 

 

ちなみに、これらの話は全て行列の中で話している。

そして、O氏は声が大きい。

前後に並んでいる方々の視線が痛かった。

 

 

 

筆者「遠征婚活も大変ですね。今回は成果ありそうですか?」

 

O氏「何言ってるんだよ!今回はあられちゃんだけだよ。一本釣りの遠洋漁業に来たの。」

 

 

 

お目当てのアイスクリームを食べ終えたところで、茶番もそろそろ幕引きである。

終始嫌われるよう努力するのも意外に骨が折れる。




その足で名古屋に帰るというO氏とともに、駅へと向かった。

 

筆者は地下鉄。

新幹線ならO氏はJRかと思いきや、一緒に地下鉄の階段を下りる。

 

 

 

階段を数段下りたところで、足がすくんだ。

 

 

 

O氏は、背後から筆者の肩に短い腕を回し、耳元で囁いた。

 

O氏「今日は会えてうれしかったよ。」

 

 

 

突然の奇行に身動きが取れなかったが、ドラえもんを投げ飛ばしたい衝動に駆られた。

未来へお帰りください。

 

 

 

 

↓今回はO氏の装いをご紹介

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