前編から引き続き、話題は容姿端麗なO氏の結婚観。
一度結婚を考えたお相手がいたものの、仕事に忙殺され、その方とはうまくいかなかったそうだ。
ペアーズの利用目的は、恋活ではなく婚活。
結婚するお相手を探しているそうだ。
O氏「結婚相手ってどうやって選んだらいいんだろうね。」
O氏「恋愛対象はいわば動物的な本能で、魅力的な異性を選んでた。結婚という共同生活を想定した場合は、理性的に適切な相手を選ぶべきだと思ってるんだよね。でも、考え始めるとどんな相手が適切なのかわからなくて…。」
思い悩む、憂いを帯びたイケメンもまた美しい。
違う違う。
筆者「共同生活って言葉、すごいしっくりきます!わたしも共同生活を送るにふさわしい、パートナーを探してるんです。」
O氏「僕もパートナーがいいって思うよ。それぞれに自立してるパートナー。」
O氏「でも、現代の日本でその考え方ってあんまり受け入れられてないよね。それに、パートナーと割り切った場合、“結婚”という型に当てはめるメリットってなんだろう?」
筆者「うーん、まず二人で生活することで、いろいろなことが豊かになりますよね。経済的にも情緒的にも。」
O氏「確かに豊かにはなるけど、自分1人でも完結はできる。その仮説には反論できてしまうよね。そのとき究極的なメリットは何だろう?」
必要以上に頭でっかちで哲学的。
無意味な自己解釈のスパイラルに堕ち、自己を納得させるために、不可解な自問自答を繰り返す。
なつかしい。
こういう友達いたなと思い、なんだか可笑しくなる。
建築を学ぶ者、しかも筆者のまわりにはこの類の人間が多かった。
そんな終わりのない問答はランチの時間で足りるわけもない。
これまたO氏が事前に調べていた、おしゃれなカフェに場所を移して話を続ける。
筆者「やっぱり“結婚”というかたちを選ぶなら、子供を持つことが最大のメリットですかね。ライフステージが変化して、人生が豊かになっていくの、友達みてても素敵だな、と思います。」
O氏「そうだよね。やっぱり最終的にはそこに行きつくよね。僕も子供かなーと思ってた。家族をつくるってことだよね。」
男性と、しかも婚活サイトで出会った男性と、結婚観についてここまで議論したのは初めてのことであった。
アルコールなし4時間の一次面接もおそらく史上初。
しかし、“婚活”と銘打つのであれば、これこそ正しい姿ではないか。
互いの結婚観を議論し、理性的に適正なパートナーを選定する。
これまでの面接は、色恋のポテンシャルを計るだけのもの。
結婚という主題に取り組む男性はいなかった。
一度結婚を逃しているという条件、
そして容姿端麗ゆえ、色恋には困らなかったという条件(実際、女性を追いかけることに時間も労力も裂く必要がなかったそうだ)、
それらがO氏を誠実に結婚と向き合わせているように感じた。
近日中に共通の知人と3人で食事をする約束をして別れた。
賢くて飄々としている。
筆者は人間として好感を持つ。
しかし、O氏はいずれ生まれ故郷の福岡に拠点を移すつもりのようだった。
首都圏近郊にしか住んだことのない筆者はおそらく、選考除外だろう。
まぁ、筆者としても選考から除外せざるを得ないのだが…
長くなりそうなので、理由は改めて。