40人目の二次面接は三連休の週末。
LINEで行き先を相談する。
K氏「連休だし、遠出したいね。」
筆者「箱根のあじさい、まだ残ってるかも。」
酷暑の今日この頃、水族館か映画かなと思っていたところ、遠出を提案され、がぜんやる気の筆者。
行きたかった箱根に行き先を設定した。
しかし。
筆者「お天気どうかな。晴れるといいなー」
水曜日に送ったこのメッセージを最後に連絡が途絶えた。
前日の21:00になっても連絡はない。
まじか。
とんずら。
だから出会い系サイト嫌いなんだよ。
友人にLINEで報告し、ふてくされる。
泣寝入りもシャクだ。
得意の苦情を送りつける。
筆者「明日はなしですか?気が変わったならちゃんとお知らせいただきたかったです。」
すると、意外に素早く返信あり。
K氏「何時に出発ですか?◯◯駅からだよね?」
筆者 既読
K氏「朝出発しよう!10:00で大丈夫?」
筆者「無理しなくて大丈夫ですよ◎」
K氏「全然大丈夫。楽しみにしてましたから。」
相変わらず可愛げのない筆者の応対に辟易とするが、仕方がない。
なにせテンションだだ下がりなのだから。
その週、仕事が忙しかったというK氏。
嘘か真か、楽しみにしていたが連絡できなかったという。
それなら、と近場の提案もしたが、行き先の変更はなかった。
“10:00に出よう”
なんとも曖昧な言葉を残し、翌朝を迎えた。
住まいの位置関係から、道中で合流する算段。
しかし、10:00にどこを出るのだろう。
K氏の家?
K氏の最寄り駅?
それとも通過点である筆者の最寄り駅?
あらゆる事態に備え、筆者は10:00から自身の最寄り駅近くで待機していた。
筆者「電車の時間がわかったら教えてくださいね(・ω・)ノ」
K氏「今から駅向かいます!」
その後、10:45の電車に乗車する旨の連絡があった。
駅から家遠いなー。
一山越えてきたのかな。
遠路はるばる恐縮です。
筆者が乗車するのは11:00。
気がつけば1時間か。
現代の時間の観念に慣れない筆者が悪い。
1時間の待ち時間を闇に葬り、笑顔で指定されたグリーン車に乗車する。
しかし。
車内にK氏の姿をみとめ、引き返したい衝動に駆られた。
グリーン車のリクライニングシートを全開に倒し、サングラス姿のK氏。
日差しのない車内でかけるサングラスは、レイバンながらティアドロップでもセルフレームでもない、スポーツ選手のごときフレームレス。
ポロシャツはハードロックカフェ。
そして。
片手にアルコール度数7%の発泡酒ロング缶。
週末の朝集合でアルコール?
しかもロング缶??
てか、なんで発泡酒???
競馬でも行くの????
ちなみにそのポロシャツはお洒落なんですか?????
筆者は愛酒家である。
しかし、このK氏の姿に嫌悪感しか抱かなかった。
箱根一泊旅の午後の電車なら、
一緒に買い物して電車に乗ったなら、
発泡酒ではなくビールなら、
ポロシャツがアバクロなら、
サングラスかけてなかったら、
リクライニングシートを倒していなかったら、
許せたかもしれない。
嫌悪感に顔を歪めつつ、隣に座る。
10分ほど言葉をを交わした。
そして、K氏は。
眠りに落ちた。
寝るんかい。
あー。
帰りたーい。
これが、二次面接の始まりであった。