―主観と客観―
物事は、とらえる人間によって解釈が異なる。
とりわけ自分自身のことに関しては客観的にとらえることが難しく、解釈が主観的になりがちである。
それは、性格など、実態のないものに限らない。
容姿という極めて物理的なものであっても、主観と客観で解釈は異なるのである。
 
 
相手:36歳 半導体メーカー 九州大学大学院卒
方法:婚活サイトPairs
場所:渋谷の和食店
衣装:黒ワンピース(MARC BY MARC JACOBS)、ブルーのパンプス(PRADA)、バッグ(CHLOE)

 
 
ア○ウェイ君の話ばかりになったが、さかのぼっていきたい。
19人目は筆者的イケメンランキング第2位のR氏。
塩顔ブームに逆行するラテン系のお顔立ちで、趣味はサルサ。興味深い。
 
この方との出会いにより、筆者は自身の容姿について再考することとなった。
 
 
この類の面接では、“好きな芸能人”がしばしば話題に挙げられる。
好みの容姿を一般化して語る常套手段だ。
これまでお会いした方々から挙げられたのは以下。
 
15人目: 柴咲コウ、北川景子
17人目: 比嘉愛未
20人目: 長谷川潤
 
目鼻立ちのはっきりした美人ばかり。
ふざけるな、ではなぜ筆者に入札したのか、と半ば憤りを感じる。
 
 
記憶にある方がいらっしゃるかわからないが、約15年前、女性誌nonnoでは女性の顔立ちを4つに分類していた。
骨格を男・女、パーツのつくりを華・涼と二分し、それぞれの組合せで4種類。
 
【男×華】
骨格も目鼻立ちもはっきりした顔立ち。濃い顔、と表現されることが多い。
 
【女×華】
丸みを帯びたフェイスラインに大きなお目め。蛯原友里など模範的な女性顏ともいえる。
 
【男×涼】
骨格はしっかりしているが、すっきりとしたつくり。当時の代表例はりょう、江角マキコ。
 
【女×涼】
角のない輪郭に控えめなパーツ。いわば日本人形。
 
 
シャープな輪郭に奥二重の目、直線的な眉。筆者は当時から自身は男×涼の分類であると自覚していた。
それゆえ、服も装飾品も直線的でマニッシュなものを好んだ。
 
しかし、先に挙げた男性たちの好みは皆、男×華に分類される。
不可解だった。
 
 
これに、答えを与えてくれたのがR氏である。
 
待ち合わせ場所に現れたR氏は、日焼けした肌に攻めたツーブロックヘア、パンツはロールアップしており、36歳とは思えぬはっちゃけぶり。
そして、やはりイケメン。
 
R氏は福岡生まれ福岡育ちの九州男児である。
親近感を与えようと、筆者は普段ひた隠しにしている自身のルーツについて触れた。
 
「実はわたしも半分九州の血が入った九州ハーフなんですよ!」
「そうなんだー。だって、顔濃いもんね。」
「・・・えっ!?」
 
 
筆者は愕然とした。
筆者は男×涼のきりりとした顔立ちのはず。
しかし、超濃いラテン顔の九州人に、“濃い顔”認定されたのだ。
 
容姿は物理的なものであり、主観、客観によらず同じく捉えられるものだと思っていた。
 
しかし、そうではなかった。
 
客観的には、筆者の顔立ちは男×華に分類されるらしい。
男×涼という認識は筆者の極めて主観的な解釈であったことが判明した瞬間であった。
 
 
面接の内容はというと…
自立した女性を好む36歳にとって、自称“1人で生きていける”30歳は、物足りなかったようである。
 
「プロフィールに強気なこと書いてるわりに意外と普通なんだね。」
 
的な発言多数で終了した。
衣装は強そうにしたのだが…無念。
 
 
しかしR氏、新しい発見をありがとう。
 
 
あまりにの衝撃的だったため、ことの顛末を妹に話してみた。
すると…
「わたし、筆者が一番似てる芸能人知ってるよ!」
「LiLiCoだよ!」
 
濃いを通り越してクドい、いやウザい領域。
もはや、どう進めばよいかわからない。
五里霧中である。