―ニーズの伝え方―
販売者に自身のニーズを伝える。購買行動において重要な行為の一つである。
どんなものが欲しいのか、具体的に伝えることで、より適切なものを手にすることができる。
ニーズが具体的でない、あるいはニーズを表明しない顧客は購買意欲が低いと判断される。
婚活市場においてもしかり。
自身が望む相手を具体的に描き、伝えることも、一つ重要な行為といえるのかもしれない。
 
 
相手:33歳 弁護士 千葉大学卒
方法:婚活サイトOmiai
場所:アメ横の居酒屋
衣装:ブラウス(?)、キュロット(ZARA)、オープントウパンプス(BARCLAY)、バッグ(CELINEヴィンテージ)
 
 
復帰2人目は、企業内弁護士、略してきぎょべんのY氏。
歯科医師は筆者には華やか過ぎたか、と地味なところにいってみた。
しかし、地味な風貌とは裏腹に、先方は月150いいね!を稼ぐ人気会員である。
 
Y氏の住まいが上野付近ということから、アメ横で飲むことになった。
 
駅前で待ち合わせ。
名前が覚えられず、何度も携帯を確認する筆者。
そこにY氏が現れた。
 
デニムにボーダーTシャツ、なぜかブリーフケースという出で立ち。
近所から歩いてきたのにブリーフケース。
挨拶もそこそこに、アメ横へと歩きだす。
 
筆者「こんな世界が広がってるなんて、知らなかったー♪アメ横おもしろいですねー✨」
 
どぎまぎなかなかお店に入れないY氏。
常連という体だったが、口ほどにはないらしい。
筆者は完全に観光客気分ゆえ、うろうろしているだけで楽しい。
 
 
結局、界隈で1番空いている居酒屋に入店。
ビールで乾杯する。
Y氏は、学生時代アイスホッケーをやっていたらしい。
そして、現在は海外のロースクールを目指し勉強中。
 
金属フレームのメガネにボーダーTシャツ、穏やかに語るその姿からははおよそ想像つかぬ、野心と闘争心の持ち主らしい。
 
 
やがて、互いの恋愛観、結婚観の話題になった。
今となっては記憶も定かではないが、“どんな人で”“週に何回会って”というパートナーに対する具体的な要望をY氏は挙げていた。
一方筆者は…
 
Y氏「どんな人がいいんですか?」
筆者「一緒にいて楽しければそれで。」
 
Y氏「理想とかないんですか?」
筆者「あんまりないですねぇ。。。贅沢も言ってられませんし笑。」
 
のらりくらり、実のない答えばかりしていた。
 
 
ここでふと、以前友人に諭されたことを思い出した。
合コンでの振る舞い方についてだった。
 
友人「筆者はさぁ、どんな人が好き?って訊かれたら何て答えるの?」
筆者「人のカタチしてれば誰でも。高望みはしません。て。」
友人「バカじゃないの?人のカタチしてればいいって言われて我こそは!と思う男子がいる?」
 
友人によれば、お目当ての男性が「自分のことか?」と思うような、具体的な男性像を挙げることが最善の手立てという。
 
背が高くて、メガネが似合って、関西弁で…といった具合に。
 
男性はそれほど単純なのだと友人は説いた。
目からウロコであった。
 
“人間”という漠然としたニーズは、ここに目当ての男性がいない、ここから選ぶ気はない、という意思の表明ともいえる。
 
 
今回の場合、
「ボーダーが似合って、メガネが知的で、優しそうだけど野心に溢れる人」
というのが模範解答だったかもしれない。
実際、そう思わなかったから仕方ないが。
 
 
空を掴むような会話を繰り広げたのち、筆者は翌朝早いことを理由に幕を引いた。
 
 
 
帰路、ぼんやりと考える。
コツコツ真面目タイプでも意外と野心はあるものだ。会社を辞めてでも留学しようなんて。
 
待てよ。
そういえばY氏、貯金は800万とプロフィールに記載していた。
自費で留学となればすぐに底をつくはず。
 
彼は大黒柱を探しているのかもしれない。
Good Luck!!