―“一人で生きていけそうな女”の需要―

多くの男性は自分よりも弱い、下等な女性を求める。

フィードバック―一人で生きていけそうな女― 参照)
女性の弱さを量るのは要素は、年齢、身体的な強さ、精神的な強さ、社会的地位、収入である。

いずれの項目も男性を下回る女性、すなわち競争社会とは無縁の、若くてか弱い女性が理想とされる。


しかし、この中で最も重要な意味を持つのは年齢である。


年齢に対する要求が覆った場合、その他の要素の逆転も許容される。
年上女性の需要、それは“一人で生きていけそうな女”の需要である。




相手:28歳 シンクタンク勤務 一橋大学大学院
方法:婚活サイトpairs
場所:横浜の居酒屋
衣装:ニットジャケット(Tomorrowland)、ツイードスカート(Tomorrowland)、ブラウス(ZARA)、ブーツ(GALERIE VIE)、バッグ(Chloe)



前回に続き年下男性、シンクタンク勤務のT氏。
会う前、2歳下というのは道徳的にいかがなものか、そもそも劣化具合に幻滅されるのが関の山、と筆者は考えていた。
不鮮明な写真と堅いメッセージのやり取りに、先方への期待も薄かった。


ところが、待ち合わせ場所にいたのは、177cmの長身に精悍な顔立ちの爽やかな青年。
しまった、もう少し凝った衣装にすべきだったか、などと後悔がよぎる。


話してみると、T氏はメッセージから受ける堅い印象に反して、柔和で朗らかな人間であった。
このような好青年が、なぜオンラインで女性を求め、筆者のような人間と食事をしているのだろうか…




これまで筆者は、年下男性からの入札(いいね!)について、容姿を優先し、年齢を妥協した結果と理解していた。
年上だけど、顔は好みだからまぁいいか、という具合に。


しかし、それは誤解であった。
彼らは意図的に自分よりも年上の女性を選択している。




T氏は次のように語った。


「パートナーとは対等な関係でありたい。1人で何もできないような女性に依存されたくはない。自立した女性と互いを尊重し合える関係が理想だ。」


女性の精神的な強さや、社会的地位に自分と同等以上のものを求める男性は、年齢も同等以上であることを求める、ということか。




儒教的な道徳観の中で生きてきたわれわれ日本人は、年齢に対する意識が強い。
“年功序列”に代表されるように、年齢の上下に従ってその他の要素の優劣があるべきという観念が備わっている。


これに従えば、


年下のくせに社会的地位が高い
年下のくせに収入がいい
年下のくせに気位が高い


という逆転は許されないのである。




筆者はこれまで、自身のスペックと性格をもってすれば、年上男性の需要が大きい思い込んでいた。
そして、年上
男性との対等な関係を望んでいた。


その自身の考えが破綻していることに気づき、目から鱗の気分だった。




“一人で生きていけそうな女性”の需要は年下男性にこそあるのかもしれない。




そんなことを考えつつも、会話は途切れることなく、楽しい時間が流れた。


そして、T氏は筆者の連絡先をきくと、その日のうちに婚活サイトを退会した。
筆者と会えたからもう不要なのだ、という。


T氏とは今後も会う機会があるかもしれない。