藤巻氏:黒田緩和「大失敗」、マイナス金利正解-マル外で円安 | ジジイのブログ

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8月4日(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた経歴を持つ藤巻健史参議院議員は、日本銀行が取るべき金融政策は異次元の量的緩和ではなく、国内に滞留する資金を着実に海外に振り向けることのできるマイナス金利だったとの見解を示した。
藤巻氏は7月30日のインタビューで、「円安にしないことには景気は良くならない」とした上で、「量的緩和をやっても円安は進まず、効果がないのは明白」で、日銀による量的緩和は「大失敗」だと指摘。円安にするためには社会の組みを変える必要があるが、どうしても金融政策に頼るのであれば、デフレが始まった20年前から「マイナス金利を採用すべきだった」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)は6月に、デフレ阻止の一環として、主要国の中央銀行として初めてマイナス金利の導入に踏み切った。利率はマイナス0.1%。市中銀行が余剰資金をECBに預け入れた場合、手数料がかかる。藤巻氏は「極めて重要な意思決定だ」と言い、初期の段階では影響が少ないとしながらも、「強力な手段」だとみている。
一方、日銀は2%の物価目標を実現するため、昨年4月に「量的・質的金融緩和」を導入した。2年間で倍増を目指すマネタリーベース は7月末時点で243兆円を超え、昨年4月末時点の155兆円程度から100兆円近く拡大。こうした中で、ドル・円相場は異次元緩和導入前日の1ドル=92-93円台から今年1月2日に105円44銭と5年ぶり水準に達した後は円安の勢いが鈍り、足元では102円台で推移している。
藤巻氏は、日本でも「当座預金にペナルティーをかけてしまえば、海外向け投資や融資を増やせた可能性がある」と説明。ただ、「当座預金残高をむちゃくちゃ大きくする量的緩和と、極力小さくしようとするマイナス金利は真逆の政策」だとして、日銀にはマイナス金利への道が断たれているとの見方を示した。

                                                        「マル外」制度

日銀の資金循環統計によると、家計の金融資産残高 は3月末時点で1630兆円と、年度末ベースでは過去最高に膨らんでいる。現金・預金が865兆円と全体の半分以上を占める。一方、外貨建て資産は40.5兆円と全体の2.5%に過ぎず、このうち外貨預金は5.9兆円で0.4%にとどまっている。
藤巻氏は個人の金融資産を海外に振り向ける手段として、外貨預金による利益を非課税とする「マル外」制度と、銀行預金金利へのマイナス金利の適用を挙げた。マル外制度は「一番簡単で、参院の委員会でも提案した」と言い、「円安こそ日本経済を支えるという認識があるならば、方法はいくらでもある」とも語った。
また、国力を示す名目国内総生産(GDP)に見合ったドル・円相場の適正水準は1ドル=180円から200円程度で、現行水準は円が割高だとし、「リーダーがきちんと明確に円が強過ぎることを宣言すれば、20、30円は円が安くなる」との従来の主張を繰り返した。

                                                           財政破綻

国債・借入金・国庫短期証券を合わせた国の債務残高 は3月末時点で過去最大の1025兆円に拡大。2014年度一般会計予算は約96兆円で、歳入のうち税収で賄われるのは約5割に過ぎない。
藤巻氏は、財政破綻に対する危機感をかなり前から持っていたが、実際に破綻していないのは「日銀がとんでもないことをやっている」からだとし、「日銀が国債を買っていなかったら、国は資金繰り不足で倒産になる」と懸念を強めている。
日銀は量的・質的緩和の下、14年末までにマネタリーベースを270兆円に拡大させる計画。長期国債の保有残高については、年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行っており、年末には190兆円に増やす方針だ。
藤巻氏は日銀が年末にマネタリーベースの目標を達成した後は、「来年から誰が国債を買ってくれるのかという問題が出てくる」と指摘。「日銀がさらなる量的緩和をせずに国債を買ってくれなくなったら、全てのマーケットはおしまいになる」と述べた。

                                                   日銀緩和に出口なし

その上で、量的緩和の出口に関しては、将来的に金利を上げたいという時に価格が下落する見通しの国債を民間の金融機関は絶対に買わないとし、日銀は「長期国債を買ったら満期までホールドせざるを得ない」と言う。
黒田総裁が出口戦略に関する質問に対して時期尚早と一点張りなのは、「出口がないのだから答えようがない」とし、日銀の緩和策に出口はないとみている。

藤巻氏は1950年生まれ。74年に一橋大学を卒業し、三井信託銀行(現三井住友信託銀行)に入行した。85年にモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)に移籍し、95年から2000年まで東京支店長。同年にはジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた。昨年7月の参院選で日本維新の会から比例代表で初当選した。