ARIEL SS 銀河編 読了
イメージ 1笹本祐一/著 朝日新聞社/刊 20141130第1刷680円 朝日エアロ文庫
 いよいよ明日冬コミの初日だからカタログのチェックで忙しいんだけど、幸いにして今年度の年末は普通に休めたので、大半を義務的意識で読書感想文をUP。
 ライトノベルの魁となった双璧であった朝日ソノラマのソノラマ文庫と集英社のコバルト文庫だが、ライトノベル全盛になって出版業界を取り巻く様々な問題から朝日ソノラマ社そのものが解散し、ソノラマ文庫も消滅。しかし売れる作品は朝日ソノラマの親会社である朝日新聞社に移籍して、そのまま売られる事に。笹本祐一著「ARIEL」シリーズも新書版の朝日ノベルスとして再刊され、新書版特典として書き下ろし短編が各巻に追加された。それら新書版で発表された外伝を集められたのが本書である。
 さらに本書は朝日新聞出版が新たにライトノベル文庫シリーズとして創刊した4タイトルの内の一つとなる。出版市場そのものが縮小し、全国の書店が毎日一店舗廃業している現在、出版社の生き残りをかけ攻勢に出ている点は評価に値する。しかも創刊ラインナップ中著名なのは笹本祐一のみである(単に拙者が知らないだけか)。それでいて新シリーズでもなく、書き下ろしでもない所が凄い。朝日エアロ文庫はやる気が有るんだか無いんだかよくわからん。出版素人の拙者であっても普通シリーズ創刊であれば意欲的に著名人に依頼し、その中に期待の新人を紛れ込ませる。少なくともソノラマ文庫から吸血鬼ハンターD、キマイラ、そして本書の新作くらいは出しても良いのではないだろうか。もしソノラマ色を除くのであれば、本書は出さないだろう。あえてARIELを、しかも再録を出したのは何故か、あまり表に出せない大人の事情があるようにしか思えないのだが…。
 それでいて外伝第一号はなんと地球侵略を開始した敵側司令官であるハウザーとその姉達の短編である。「ARIEL」はいつ主人公を交代したのだ? 確かに本編において後半はほとんどハウザーが主人公と云って過言は無い状況であった。もはや名実共に主人公が交代してしまったのだろう。最初のコンセプトである、女性型大型ロボットを運用して地球を防衛する三姉妹(従姉妹だが)とおじいちゃんが、銀河帝国側の内幕の話になっていた。それはそれでとても面白く読めた。
 しかもだ、ハウザーを主人公とした星のお姫様との逃避行は、小道具として使われる宇宙航路帯が「モーレツ宇宙海賊」とカブってる。同じ世界設定だからヤル事も同じなのかもしれないけど、引き出しが少なくないかな。それとも宇宙船による
 内容紹介
地球外からの侵略に対抗するべく、日本の科学者たちが考え出した方法、それは女子高生パイロットによる巨大ロボットだった!? 「モーレツ宇宙海賊」原作者の名作シリーズ『ARIEL』のよりぬきエピソードが、初のオリジナル文庫化。
 【目次】
姫君と士官候補生
妖精と魔法使い
令嬢と大泥棒
文庫版あとがき
 内容(「BOOK」データベースより):地球外からの侵略に対抗するべく科学者たちが考え出した方法、それは女子高生パイロットによる巨大ロボットだった!?名作シリーズ『ARIEL』のよりぬきエピソード“侵略者”側の過去編が初のオリジナル文庫化。「姫君と士官候補生」「妖精と魔法使い」「令嬢と大泥棒」収録(アマゾンより引用)