イメージ 1~チョコと赤マル~ 小畑健/漫画 大場つぐみ/原作 集英社/刊 20090309第1刷400円 ジャンプ・コミックス 
書籍紹介: サイコーとシュージン、初めての合作マンガが完成し、ジャンプ編集部へ原稿を持ち込む。緊張する二人をよそに現れた編集・服部は、そのマンガをさらっと読み上げてしまう。果たして彼等に下された評価とは!?
 原作者が女性(だと思ってますが、最近名前で判断できないからなぁ)のせいか、女性キャラクターの絡め方が上手いというか、学校や家庭といった日常とマンガで出版社と交渉するという非日常を違和感なく演出しているのが凄い。ジャンプ系のバトル物は日常から遊離していくのが特徴なですが、さすがストーリー展開上各出版社の傾向や作品性を分析研究しているせいか、地に足が着いた物語展開です。中学生のデビューが地に足がついているのか!と思うかもしれませんが、実際何人もいますからねぇ。ジャンプに限らず少女漫画も含め結構いますよ。高校生なら数え切れませんぜ。ただしデビューしたからといってプロのマンガ家として食べていけるかは、また別な話。作品中でも何度も出てきますよね。おそらく作者自身も身に染みている切実たる現実の話なのでしょう。後はライバルがどう今後に関わっていくのかも楽しみ。
 しかし云わば楽屋落ちの物語を、いくら売れる作者だからといって編集部が掲載に踏み切った理由はどの辺りにあるのか、編集部の意図にも興味が湧きます。例えば、週刊少年ジャンプの発行部数が激減したのと同時に、マンガ原稿の投稿者やアシスタント希望者も激減し、新人の確保が難しくなってきたため、集英社へマンガ家希望者の目を向けさせる為にも踏み切ったとか。作品を作者と二人三脚で作っていくジャンプ編集部ならば、マンガの中の出来事のように、作品の方向性やストーリー展開にかなり意向が加わっていると見るべきでしょう。リアルとバーチャルのクロスオーバーもまたこの作品の魅力と云えます。