イメージ 1林トモアキ/著 角川書店/刊 20090101初版686円 角川スニーカー文庫
 主人公川村ヒデオは大学中退ニートでヒキコモリの無為徒食な日々を過ごしていた所、拾ったパソコンから現れた電子の妖精ウィル子とともに無謀にも、人外の者共が頂点を目指す聖魔杯に出場する。自暴自棄で参加はしてみたが、特殊能力保持者だらけの参加者達を相手に口先三寸と運だけで勝ち優勝候補の一角を占める。聖魔杯主催者前「お・り・が・み」主人公の鈴蘭の企画意図に、アルハザンなる魔神組織が裏で暗闘し、ヒデオも巻き込まれる。聖魔杯優勝の行方とヒデオとウィル子の行く末は如何に!怒涛の完結編。
 主人公が素手だったからこそ知恵と勇気で「勝」快感だったわけですが、さてはて。強大な「力」を得るという為の死と再生の儀式と見るか、ご都合主義ととるかは人それぞれですけど、私は前者を取ります。ただ一度彼岸へ行ったら、死者と変らないので、今までの日常とはお別れするのは納得できます。でも本編中これだけ人は一人で生きていけないと繰り返し主人公に言わせ、そういったシチュエーションを繰り返し説得力を増しているのに、主人公が今までの日常生活上まるで天涯孤独のように描かれているのは府に落ちません。それほど現在の日本において血縁関係というのは希薄な関係になったのでしょうか。ライトノベル全般に云える事ですが、血族共同体があまりにも無視されているように思えるのは、私が昭和世代だからなんでしょうかね。