イメージ 1林亮介/著 ソフトバンク クリエイティブ/刊 20081130初版600円 GA文庫
 地震で京都の北に地下空間が生じ、未知の生物が人々を襲いだした。政府は地下空間を管理下に置くとともに、志願者を募り怪物退治と怪物の死体の買取を始めた。高い死亡率にもかかわらず、志願者は後を絶たなかった。
 冒険者達のそれぞれの視点から語る群像劇。ウィザードリーに物語性を付けたような感じといいましょうか。webで好評を博しての書籍化だそうで、一応主人公と云えるキャラクターが日記をwebに公開しているという設定がネットだからこそ生きるというものでしょう。世界観の設定は成功しましたが、今後物語りとしてのキャラクター達の生き様と迷宮の謎が今後どう展開するのか楽しみです。
 主人公の視点から人間の身体能力についてかなりの言及があります。著者自身が体育大学系か子武術等の育成機関での経験があるものと推測できます。言葉の説得力とは、結局経験に裏打ちされると思われるからです。
 「地下に潜り他の生き物を(~中略~)殺す生活を選ぶ時点でこの上なく不謹慎であり愚かなのだ。」前後の文脈の関係もあるでしょうが、コレでは殺生=不謹慎と云う事になりませんか?言葉は生き物です。著者の意図とは別に言葉は受け取られやすいので、もう少し言葉を選んでも良かったのではないでしょうか。もしくはコレが伏線であり、今後この文章に対する答えが出てくるのであればよいのですが。