イメージ 1高里椎奈/著 講談社/刊 20081204第1刷950円 KODANSHA NOVELS
 命の恩人・イーターの強い誘いで人間が恐れる生物・悪鬼(グール)が棲むという南海の孤島へ向った少女フェン。海賊と嵐に襲われた船旅の末、辿り着いたのは「人喰いの島」と呼ばれる不吉な場所だった!そしてその名を裏付けるが如く仲間が消失する!?祖国を追われた元王女・フェンの冒険「ファンネル大陸 真勇伝」最新刊!(裏表紙より引用)
 ファンネル大陸シリーズ9冊目です。第一部「偽王伝」そして第二部「真勇伝」の2冊目。フェンネル大陸には悪鬼(グール)と呼ばれ蔑まれている民族が居た。主人公フェン自身王女として悪鬼(グール)を指揮し戦場で武勲をあげていた。国を追われ、悪鬼(グール)であるテオに助けられ共に旅をするようになり、己の無知なるを知るにつれ非情な差別を目の当たりにする。南海の島には悪鬼(グール)の国があると聞き海を渡るが、其処にも人の営みがあり国の軋轢があった。そしてフェン自身が知らない間に己の真実と出会う旅でもあった。
 徒手空拳で奴隷として国を追い出された王女が、旅先で人々の営みを目の当たりにし、人々出会い、国の混乱に巻き込まれていく、まるで水戸黄門的ながら、主人公自身の目的を探す旅でもある点が黄門さまと違う点でもあります。立身出世の物語かというとそうでもない。もしかしたらこのまま風来坊として人々の心に足跡を残してファンネル大陸から去って行く終わり方もあるのかな、と云う気もするし、ファンネル大陸の混迷に終止符をうつべく天下統一してしまうのもありきたりだし、自国に戻って新国家体制の樹立もあるのではなかろうかとも夢想してしまいます。でも軍隊による大戦争は無いとだけ確信してます。