イメージ 1

 とある地方都市のシネコンで月曜日の初回11時50分の回を見に行きました。土曜日が初日でした。それでも席の7割は埋まり、平均年齢がかなり高く子供がいませんでした。ロビーは夏休みももう終わろうとしているせいか家族連れと子供達でごった返しの様相です。
 まあ、おこちゃまには座り続けて見るのが不可能な映画です。客を選ぶと言うか見る側の素養を試されます。映画館へ行くというより観劇へ行くと言った方が意味が通じるような気がします。ヒトラー~最後の12日間と似ているような気もしますが(延々と防空壕の中の描写であるとか)ロシアならではの重厚さというか、縦列陣地はお家芸生半可な突撃では突破は不可能でしょう的積み重ねが見事としかいいようがありません。
 そしてまた監督以下ロシア側の日本に対する知識と愛着が小泉八雲のように、もしかしたら日本人以上に歴史と文化に精通しているとのではないでしょうか。隣に座っていた老夫婦が映画終了後、これ外国の映画よね、と旦那さんに尋ねていました。逆にあまりにも日本マニアぶりが高じてベルリン映画祭等で賞を取れなかったのではなでしょう。
 しかし如何して欧米人って和太鼓の音とか梵鐘の音にこだわるのでしょう?天皇に梵鐘は似合わないんじゃ・・・仏教徒じゃないし。エンディングのオーケストラは流石ロシアです。BGM集が欲しくなりましたが映画館で売っていないし、近所の紀伊国屋でも売っていなかったので未制作なのでしょうか、そうだとしたらちょっと残念。ネットで調べてみましょう。
 皇居からマッカーサーの所へ行く途中、瓦礫の中を車で走っていくのですが、ここだけ日本の焼け野原ではなくソ連の大祖国戦争の都市になっていました。やはりどうしても癖が出てしまうのでしょうね。東京駅周辺であっても日本ではああならないのでは?それとも私の知識不足?
 防空壕の中は蛍光灯?白熱灯でなくて?当時皇居だけは入手できたのかしらん。
 昭和天皇は終戦時四十代中頃だったはず。やや体力的に衰えを自覚してもそこは経験でカバーできる男としては働き盛りでしょう。政治家や陸海軍の年寄り達をあしらうことも出来ず、ことわざ通り三代目で身上を潰してしまうわけですが、イッセー尾形は五十を越えているはず。頃合としてはとても良い世代だと思いますが、どうしても戦後の昭和天皇のイメージがつきまとってしまいました。これまた単に知らないだけなのでしょう。
 これぞ芸術的映像作品の名に相応しい映画です。おそらく50年後には今以上の名声を得ているでしょう。
 映画って本当に面白いですね。

 以下yahooより引用
解説: ロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフが、20世紀の権力者を取り上げた『モレク神』『牡牛座』に続き、昭和天皇を主人公にした問題作。神と崇められ、戦争に翻ろうされた天皇が、終戦から一転して「人間宣言」へ至る苦悩と孤独を詩的なタッチで描く。昭和天皇役には映画、舞台以外にも多方面で活躍するイッセー尾形がふんし、桃井かおり、佐野史郎が共演。天皇ヒロヒトの人間的側面に迫る本作は、第55回ベルリン国際映画祭など世界各地で絶賛された。(シネマトゥデイ)
製作年度 2005年
上映時間 115分
監督 アレクサンドル・ソクーロフ
出演もしくは声の出演 イッセー尾形 、ロバート・ドーソン 、佐野史郎 、桃井かおり 、つじしんめい