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 日本パニック映画の面目躍如。
 円谷全盛時代、日本は自然災害や怪獣星人から数限りない攻撃を受けてきました。また、その緊張感を映像が描けたという事が大きいと思います。
 ところがいつの頃からか日本特撮の衰退が始まり、80年代以降は見る影も無くなってしまいました。しかし、かつて円谷特撮の洗礼を受けし世代が今名実共に社会の中心世代として進歩した技術と共に帰って来た様な気がしました。
 ガメラ3と同様に、冒頭いきなり緊迫感あふれるシーンから始まり、日本の崩壊を縦軸に主役草薙と柴咲の恋愛を絡ませ、何処に出しても恥ずかしくないパニック特撮映画が出来ました。普通に恋愛映画として見ても充分面白いですが、更に「特撮」の視点で見ると面白さが倍増します。
 二時間を越える尺ですが、最後まで飽きさせません。確かに恋愛の絡みで情感を持たせるために間を作りますが、本来ここは泣きどころではないかと思います。でも映画館で後方に陣取っていた中年のアベックが・・・、お前らは茶の間の家族か!

 以下見てきた人にだけへの語り。これから見に行く人は、見てから読んで下さい。

 柴咲の頭、ちっこいですね。草薙の頭をマスクとして被れるのではないかと思ちゃいました。
 清水寺の管主がガンダムの監督富野良由季に似てると思ったら本人でした。
 清水寺はてっきり地震で崩壊して、お経を唱えながらお坊さんが死んでしまうシーンを期待したのですが、やはりあえてそんなシーンを作らなかったみたいですね。大正池が真っ二つに割れるとか、金閣寺が沈むとか、鎌倉の大仏が泣くとか、前作へのオマージュ(TV版だけど)は丹波哲郎?
 加藤武の家族として庵野秀明が出てると思ったら奥さんの漫画家安野モモコまで出演していました。エンディング・テロップでわかりました。ローレライの原作者福本夫妻も出演していたみたいですが、わかりませんでした。
 知人が草薙では「薄い」と評価していますが、今回は人助けをしたがっていたり使命に燃える熱血漢ではなく、日本中が崩壊し惨劇の渦中にいながらモラトリアム期間を経て入定する、解脱への道を主人公が歩むわけで、ならばこそヒロインとの最後の夜で床を一緒にしなかった理由になるのではないでしょうか。
 これまた知人の語りですが“特撮監督シンジ君。脚本薩川昭夫。監督庵野で「妖星ゴラス」をリメイクしたほうが良いのではないか”なんて。
 確かにそれもありかも。ラストの爆破シーンはそのまま地球軌道の変更に使えそうです。起爆用N2爆薬って、もしかしてエヴァンゲリオンに使われたアレ?
 九州の被害を偵察する為に百里のファントム偵察用が二機発進したのは、航空自衛隊による考証があったのか、ミリタリーマニアのゼネプロのメンバーならではだったのか。実際三宅島の被害偵察をはじめ百里の偵察隊が活躍しているのは航空ファン等に紹介されている通り。
 それにしても、地盤沈下で最初に沈んでいくのは関東平野だと思うんですが、映画的演出でそうせざるえないんでしょうね。映画のノリだと九州・四国・北海道の人々は助け出す以前に壊滅しているようなんですけど、どうなんでしょう。
 わだつみ6000が圧壊する時「後は頼むぞ小野寺っ!」の一言あれば、臭いですかね?
 他にも「おまえ何考えてるんだ?」と死地に赴く小野寺=草薙に田所=豊川が問う答えに、「ええ、日本人ですから」とか、「奇跡を」ではなく「神風をおこしてみせます」くらい言って欲しかった。いや、あの樋口監督だからこのくらいイメージは湧いているでしょうが、おそらく普遍性を削除したのでしょう。
 そして主人公の実家にツバメが戻ってきたとき、おかあさんに「お帰り、トシオ」と主人公の名を呼ばせるのが戦場まんがシリーズの基本でしょう!
 いやー、自衛隊かっこいいですねぇ。でも自衛隊はいざという時は国体を守ったり、海外での行政府を守ったりするのが忙しく海上・航空はピストン輸送しているでしょうから、結局住民誘導等は警察と消防が、特にこの二つは最後まで残ってもおかしくないくらい士気が高いので、画面で活躍させる必要があったのではないでしょうか。
 
 ローレライに続き海洋国家日本らしい映画でした。しかも2006年は海猿といいポセイドンと海中の息苦しい映画のオンパレードです。日本映画も長い沈滞の時期を脱しつつあるのでしょうか。

以下yahooより引用
解説: 小松左京の同名ベストセラー小説を映画化した1973年作品『日本沈没』を、『ローレライ』で長編監督デビューを果たした樋口真嗣が現代にリメイクした衝撃作。SMAPの草なぎ剛と柴咲コウがダブル主演し、未曾有の災害に立ち向かうヒロイックなキャラクターを熱演する。防衛庁や東京消防庁の全面的な撮影協力と日本を代表する特撮スタッフが生み出した臨場感あふれる本格的スペクタクル映像の数々は、日本映画史に名を残すほどの完成度を誇る。
ストーリー: 大規模な地殻変動によって日本列島が海中に沈没するという危険性が指摘され、それを証明するかのようなマグニチュード8以上の大地震が次々と発生する。そんな中、大地震の被害にあった潜水艇のパイロット小野寺(草なぎ剛)と幼い少女美咲(福田麻由子)は、ハイパーレスキュー隊員の阿部(柴咲コウ)に救出される。(シネマトゥデイ)
製作年度 2006年
製作国・地域 日本
上映時間 135分
監督 樋口真嗣
製作総指揮 -
原作 小松左京
脚本 加藤正人
音楽 岩代太郎
出演もしくは声の出演 草なぎ剛 、柴咲コウ 、豊川悦司 、大地真央 、及川光博