雨夜幻影

雨夜幻影

サメヨゲンエイ

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巫幽目線

あれから数日、もう何も聞け出せやしないと私も呆れ彼が居ても気にせず互いに無視をした
だが雨が降った次の日の朝、彼の姿はなかった
  次の雨夜もまた居ない・・・
ふと私は夜に傘を片手に出かけた
前に彼女が居た場所へ
ぽつぽつと雨音が傘に響くばかり、数時間待とうが彼女は姿を現さない
眠気に限界だ、もうこの事はなかったことにしよう、彼女の事はもう諦めた
  特に何もないいつもの生活へと戻った
外はすっかり寒く雪は積もり葉は霜を付け真冬へと向かっていた
新たに雪かきの仕事が入るから冬は面倒なものだ
かといってやらないわけにはいかない
いつ客がくるかもわからないしね
それに面倒くさくても綺麗な方がすっきりする
彼女みたいに汚れた身でいたくない、と心の隅では言った
冷えた体も雪かきをすれば自然血温まってくる
ある程度片付けば神社へ戻ってお茶にした
  変わらない日々、余りにも変化がないと暇だ
することといえば神社へ参拝しに来た人に耳を傾ければ箒を動かすだけだ
殆どの参拝客は"神隠しがなくなりますように"だとか"消えた娘が帰ってきますように"というものばかりだ
彼女のせいで多くの人が迷惑し、悲しんでいる
彼女にそれを理解して欲しい
今直ぐにあんな生活をやめて欲しい
じゃないと、人は悲しむだけだし彼女の心が晴れないまま
・・・いいえ、もう彼女の事を考えるのはやめよう
気にしたって仕方がない、彼女が変わる気にならなければ変わらないのだから
いつの間にか止まっていた手に気付き再び動かし始めた
「すみません、また相談に来て・・・」
ふと我に帰り声のする方へ振り返れば未界の姿があった
それも本を大事そうに抱えて
どうしたのと聞くと未界は
「この本、ずっと昔からあるけれど・・・中身を見たことがないの。見ようと思っても怖くて見れなくて・・・でもこの本に大切なことが書いてるかもしれない」
と弱々しく呟き、本をこちらへ差し出した
「開けてみてもいい?」
「ええ、いいですよ」
と優しく応えた
本の最初の1ページ、白紙
ページを一枚めくり、2、3ページも白紙
適当にめくりどのページを見ても全て真っ白だった
「・・・読めないわ、何も書いていない」
私は未界にこの本を返した
「そうですか・・・」
と残念そうに言って、礼をして立ち去った