夏目漱石の傑作に「坊ちゃん」があり、小林信彦がインスパイアされて「世間知らず(後に「背中合わせのハートブレイク」とタイトル変更)」として若気の日々を描く。

夏目漱石の「坊ちゃん」は、清の存在が圧倒的。清には坊ちゃんが何やら大人物に写っているらしく、親類に除け者にされ、若き日の夢も破れ果てたと暗示されていても、いつもいつも肯定的、温かく迎え、結婚してもお側においてと、墓場も一緒に、と。

清の存在では夏目漱石を国民作家にした、清の創造こそ文豪夏目漱石を漱石たらしめたのではないか。

凪良ゆうの「美しい彼」、美の、勝者の体現者清居奏と、清居奏にサレンダーしている平良一成と言う今どきストーリー。ドラマでは清居奏を八木勇征、平良一成を萩原利久が神がかった演技で傑作にしていました。まことに傑作。清的なものが平良一成として出ていましたね。ドラマでも、劇場版でも如何に清居が平良を愛しているか、完全受容、妄想の段階を超え、昇華の域に達した受容性が、神話の域に達しています。トーマス・マンの「ベニスに死す」も、原作もルキノ・ヴィスコンティ監督作の映画も妄想、想像が昂じたを超え、神話の域に達していました。


※本文と関係あります。

自由が丘さんど