島田荘司の「暗闇坂の人喰いの木」を読む。大作、としか言いようがなく、構造は高木彬光の「人形はなぜ殺される」が浮かんだりし、横溝正史の「犬神家の一族」「病院坂の首縊りの家」も浮かぶ。人物描写もさることながら、作品が描く事象が並大抵ではない、人外とも言える激情を表現している。江戸川乱歩の「盲獣」「蜘蛛男」ならばシリエルキラーというのか、トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」のような描き方とは違うアプローチとなる。理由らしい理由がない物語とは真反対。
推理小説はその性質上、人間の闇を描く、影を、暗部を描く、ひたすらな転落を描くものだと改めて感じる。
*※本文とは関係ありません

※「美しい彼」(ドラマ・映画)を見ました。
シーズン1、劇場版、シーズン2の順で。
書店に行くと、最近、八木勇征君、萩原利久君は雑誌の表紙では目に入ってはいましたが。さして調べることもなく。
知人に格好はいいんだけとなんと評したらいいのか?ダンディはダンディなんですが歳が若すぎる、がいるんですが長らく疑問に思っていたと改めて思いました。八木勇征似だと、正確に言うならば八木勇征演じる清居奏似だと。会社の若手もなんと言っていいのか分からないが魅力はある、ポテンシャルはあると言う存在いるが、萩原利久似だと分かる。正確に言うならば萩原利久演じる平良一成似だと分かる。
映像はブルーを基調としてまとめられ、主題歌は明るくティーンネイジャー的、音楽は清居奏のテーマがドラマの大部を覆う心象、ウェット感が出、深海を彷徨うようなイメージを齎している。清居奏のテーマがなかりせば、ドラマにはシルアスさが充満していたのではないか。
ピュアで、綺麗で、不器用さ、思い違いの連続で、八木勇征演じるところの清居奏、萩原利久演じるところの平良一成が二人の世界を擦り合わせていく姿が映像と音楽でブルーを基調に整っていく。どこまでもポップで。