「コインロッカー・ベイビーズ」
の衝撃。
谷崎潤一郎、筒井康隆のような会話と「地」を分けない文章。筒井康隆は村上龍にSFを書きなさいとアドバイスしたようですが、見事に達成された。黄金のエイティーズを彩る傑作。

SF的な設定は活かされる。「愛と幻想のファシズム」「コックサッカー・ブルース」「希望の国のエクソダス」「共生虫」

語りは巧みに。「エクスタシー」「メランコリア」「タナトス」「超電導ナイトクラブ」

最近ではすっかり「カンブリア宮殿」の司会者だが、かつては「Ryu’s  Bar 気ままにいい夜」、本来は、「限りなく透明に近いブルー」芥川賞作家。


何かと比較された村上春樹。
同じ村上姓と言うことか。

両者の共通点は、都市の発熱期に対して距離をおいた、村上龍は破壊、村上春樹は無視(クールと言うべきか)。

更には縁の否定。物語の否定と言うべきか。それまでの湿り気を村上龍は嫌悪、村上春樹は無視。それが語り方は違えども、作品の生活感を減らし、村上龍の作品にはどことなくSF、村上春樹の作品にはファンタジーの要素を与えている。

背後には、大江健三郎と言う影絵があるような。ないような。

※本文とは関係ありません。