一日一つだけ、ほんのちょっとの、新しさを加える。
ほんのちょっと。
春日武彦さんが、毎日、ちびりちびりと、酒を嗜む、ではなく、井上靖さんの短編小説を読むと書いていて、さもありなん、と思いましたし、チェーホフの短編小説を毎夜一編ずつ読む人がいると書かれたモノを読んだ時も、何だかしっくり来ましたね。さもありなん、と。
適度の緊張、適度の刺激、心の変化。
今、道尾秀介さんの「いけない」を読んでいますが、刺激に満ち満ちていて、軽く頭を回されたようなり、明らかに著者の描く世界やら、文体と相性が良いと分かりますね。「いけない」は短編集なので、一編を読むのは、軽く一杯をやってから家に帰る時の、軽く一杯に当たる感じでしょうか。例えば、味の濃い、レバーか何かのパテを食べ一杯だけの赤ワインで舌から洗い流すように充分含んで、渋味と爽やかさで舌を満たすような。
何でも、短時間でも、「異物」を入れる事の大切さ。
勿論、楽器を鳴らす、コレクションを弄る、久しく会っていなった旧友と会う、走る、
人によって「日常」が違うように、その日常に抗う非日常もその姿は違う。
※本文とは関係ありません。