遠藤周作、安岡章太郎、松本清張、吉行淳之介

大きな仕事をしましたが、いずれの方も出遅れを取り戻そうとしました。

自分は遅れている、と。病気やら不遇やらで。

本来は得られたはずの場所に、在るべき姿に追いつこうとした訳です。それが前を行っていた筈の他者を凌ぐ活躍になる。

東野圭吾さんの「誰が彼女を殺したか」を読んでみました。東野圭吾作品はあまり馴染みがなく、「悪意」「名探偵ガリレオ」「名探偵の掟」あたりは読んでいましたが、改めて読んでみて確かに面白い。所謂古典ミステリーを僕が読み込んでいなければ、ショックすら覚えたでしょうね。面白くて。何せ「誰が〜」は本を閉じる、読みかけるのが億劫なくらい面白かったですから。久々。
そう考えると、東野圭吾さんは凄まじい活躍をされていますが、どことなく松本清張の影響を感じます。
松本清張は膨大な推理小説の他に、ノンフィクションの傑作「昭和史発掘」「日本の黒い霧」を書いている。特に「昭和史〜」はそこには膨大な資料と格闘した事が読み取れますし、「文豪」「両像 森鴎外」と言った文芸評論は氏の読み込みの深さが分かります。更には晩年の「暗い血の旋舞」ではなんとハプスブルグ帝国、「神々の乱心(未完)」では戦前の宮中にカルト宗教の危機があったと言う史実を虚実交えた作品にして連載。なんと言う仕事量、幅、質の高さ。
これ程の作品群はあまりいないのでは?
司馬遼太郎さんくらいしか匹敵しないのではないか。
幅ならば江戸川乱歩さん、三島由紀夫さんも、安部公房さんありますが。


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