谷崎潤一郎が
日本文学史上最重要作家ではないと疑う人はいないはすだ。
そして

村上春樹の
『1Q84』は
谷崎潤一郎の
『細雪』へのオマージュではないかと推測しているが直感的に把握しているだけなので証明は出来ない。
なんとなくではあるけれども強い直感だ。
雰囲気が似ている。どちらとも失われた時代感を書き留めておこうとする意気込みが伝わってくる。気のせいか?
話の進行の緩慢さは共通点として挙げていいはずだ。

谷崎潤一郎について話したい。
渡部昇一の
『発想法』に出て来る視点で。
文学の鑑賞からは離れるが、興味深い。
谷崎を活動時期によって分けていてそれを参考に語りたい。


マゾヒズムなど西欧思想を取り入れた初期のモダンな作品。『刺青』『秘密』などを発表。文壇の寵児。

次に
『金色の死』
『途上』
『柳湯の事件』など芸術至上主義や推理小説的な作品。

次に
『痴人の愛』や関西移住を契機に
『卍』
『春琴抄』など。
語りの巧みさの妙。

戦時下
『細雪』
『源氏物語』(現代語訳)ある種のレジスタンス伝説のはじまり。
戦後『鍵』
『瘋癲老人日記』老人の性と言うタブー視されていてしかもあまりにユニークなジャンルの開拓。

作家論、作品論ではなく作品の変遷を捉えると
マゾヒズム
と言う縦軸はぶれていなくて(!)、表現方法は日々変わっていってるのがわかります。
谷崎潤一郎は大谷崎とまで言われていた作家ですが
探求心と
なんでも取り入れていく貪欲さ。
そして変化し、いつでも世間の度肝を抜いていたそうです。
上記には書きませんでしたが『吉野葛』『蓼喰う虫』とかの名作も書いてしまう本当に隙がないと言うか、器が大きい凄い作家です。
脱帽。

僕は
『瘋癲老人日記』がフェイバリットです、参考までに。

この作品の凄さは
小林信彦の『小説世界のロビンソン』
をお読み下さい。