なにがきっかけだったのか


もはや覚えていない




あの日あのとき


わたしたちは完全にオープンだった











離婚して4年


長男が中学2年生のとき




それまで自分の気持ちを


言うことのなかった長男が爆発した




そんなことはあの一度きり


なにがきっかけかは覚えていない






長男が話す




転校で友だちと


離れ離れになったこと




お父さんとお母さんが


離婚してしまったこと




どうして


どうして


どうして!




理不尽なできごとが


どれだけつらかったか




しぼりだすように吐き出した


ぼろぼろこぼれる涙も気にしないで








わたしは離婚して以来


「(離婚して)ごめんね」


とは気安く言わないようにしていた




あまりにごめんねというと


自分はかわいそうな子だとおもうという


記事を信じていたのかもしれない




わたしが幸せにすると


意気込んでいたのかもしれない




くだらないプライドのせいかもしれない








だけど長男の血を吐くような叫びに


本気でこたえないわけにはいかない





お父さんとお母さんには


こういうことが起こり


あの選択が精いっぱいだったこと




ああするしかなかったこと




つらいおもいをさせて


ごめんなさい





わたしはこのとき


本当に心の底からごめんなさいと


はじめて言った





わたしもぼろぼろ泣いていた





そこにいた次男もただただ泣いていた







3人でおもいっきり泣いた







あの夜はわたしたちにとって


確実に大きな転換点だった