骨シンチグラフィによる骨転移の診断(Bone scan)
悪性(骨転移)を示唆する所見
①転移性骨腫瘍は骨髄で増殖するため、骨の長軸方向に進展しやすい。
※骨折は長軸に垂直に生じやすい。②転移性骨腫瘍は骨の中に生ずる。
※変性性変化は関節面の両側に生ずる。③転移性骨腫瘍は病変の中央よりも周辺の方に集積が強い(ドーナツ型)。
※他の原因によるものは中央部に集積が強い。 但し、前立腺癌の骨転移は例外である。
④骨転移の集積は、不均一な分布である。
⑤骨転移は、赤色骨髄の分布もしくは Batoson’s plexusの分布に一致する。但し、肺癌や胃細胞癌では例外がある。骨シンチの注意点
・多くの骨転移巣は、骨シンチで集積の増加=hot spotとして表現されるが、場合により周囲よりも低集積=cold spotとなることがあるので注意が必要。
・骨梁間型の骨転移は骨シンチでほとんど正常な所見を呈するので注意が必要。
・びまん性に骨転移をきたした場合、一見正常所見と間違えることがある。これを、superscanあるいはbeautiful bone scanと呼ぶ。正常像との鑑別は、腎臓がきちんと描出されているか確認することである。(正常の場合は、腎臓は描出されて、superscanの場合は描出されない)骨シンチ画像を見ただけで直ちに診断できるもの
・Sternocostoclavicular hyperostosis (SAPHOsyndrome)
・Insufficiency fracture:脆弱性骨折。特に骨盤で見られ、低栄養、骨粗霧症、放射線治療などが原因で脆弱化した骨が、日常的な外力により骨折に陥るもの。シンチで、H字型の集積増加がみられるのが特徴で、HONDAサインと呼ばれる。
・Hypertrophic osteoarthropathy:肥厚性骨関節症。肺癌によることが多い。プロスタグランジンの代謝異常に起因するといわれている。骨シンチで、上下肢、特に脛骨の骨幹に沿ったびまん性の集積増加が特徴。→肥大性骨関節症の症状、骨シンチ画像診断
など骨シンチとFDG PETの比較
・FDG-PETは溶骨性の骨転移の診断により有用。骨シンチよりも特異度が高い(骨シンチは偽陽性が多い)
・骨シンチは造骨性の骨転移の診断により有用。
・乳癌の場合は、溶骨性、造骨性両方あり、むしろ溶骨性が多いので、シンチのみでは転移なしと断定はできない。
・また溶骨性転移でも骨シンチで集積することあり、これは溶骨周囲に反応性の造骨があるから。
・CTでは溶骨性、造骨性ともに判定可能。ただし、難しい症例もかなりの割合あり。
骨シンチ FDG PET 偽陽性 変性、骨棘 炎症 偽陰性 溶骨性転移
びまん性転移
膀胱の近傍造骨性転移
脳や膀胱の近傍特徴 感度が高い 特異度が高い 症例 40歳代女性 乳癌
症例 50歳代女性 乳癌
骨シンチの Computer Assiated Diagnosis
・BoneNavi®は前立腺癌では予後因子として使える。
引用元:骨シンチグラフィによる骨転移の診断(Bone scan)
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