⠀「マザー」 藤川幸之助
藤川氏は中学の同級生。
中二、中三と同じクラスだったけれど、ほとんど話したことはなかった。
彼は、その頃から少し大人だった。
中高一貫校だったが、彼は高校受験をし、県立最難関の高校にちゃんと入学し、私の記憶の片隅で「球磨から来た秀才の男子」としてひっそり記憶されていた。
それから二十数年経ったある朝、新聞をめくったら突然飛び込んできた「藤川幸之助」という名前。
朝日新聞に紙面四分の一を使ってこの本の広告が出ていたのだ。
藤川くんは「詩人」になっていた。
その日に本屋へ行き、高揚感の中、夢中で読んだ。
その壮絶な日々に、珠玉の言葉に、涙があふれた。
今は日本中を講演して回る日々だという。
私のことも、覚えてるよ、と言ってくれてありがとう。
日本が落ち着いて、講演が再開したら会いにいってみよう。
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「日記」
⠀⠀⠀⠀藤川幸之助
バス停の
少年の伸びるに合わせ
母の病の
進む午後五時
母の文字
時間となりて崩れゆく
もう文字のなき日記の白さ ⠀
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本日、母の日。
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