「蛇を踏む」川上弘美 | 藍色の傘

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一日中、猫を膝に乗せて、本を読んで暮らしたい。

「蛇を踏む」川上弘美


積読になっていたのを、

横浜のニシキヘビ騒動を契機に

引っ張りだした一冊。


川上弘美初読みでぶっ飛んだ。



 こんな攻めた作品にも芥川賞をくれるとは、芥川賞はやはり懐が深い。


石原慎太郎は全否定したらしいが、

この異次元の摩訶不思議さを面白がることができないとは

もったいないことである。



「ガロ」や「坂田靖子」の奇譚群を思わせるような夢幻の世界で

人は膨らんだり縮んだりし、

箱は開かず、

柱には ねこまが住み、

真珠玉からは百合の匂いがする。



 混沌とした夢から覚めたら、

きっと汗をびっしょりかいているだろう。


さて煙草でも喫むかと

缶ピースの蓋を開けた時、

小さい蛇がぎっしりうごめいていないと良いのだが。





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