一緒に暮らすにあたり、ある目標を設定してみた。

それは、「母の認知症を治す」というものだ。

デール・ブレゼデン氏の『アルツハイマー病 真実と終焉』を読んでから、

認知症は治るんではないか?という可能性が見えてきたからだ。

誰だって、元気なまま、ある日コロリと倒れたい。

 

元気な老人を増やし、医療費を減らすのが、

あるべき社会の姿でもある。

 

アルツハイマーに関していろいろ調べていると、

ドーパミンという物質が関係しているらしい。

ドーパミンは人間のやる気を出すもの。

ポジティブな気持ち、好きなことをやる、楽しい気持ちになること。

先日から水中ウォーキングを始めたら、

水に入った瞬間、母の顔つきがふわりと変わるのがわかった。

まるでプールの水を抱くように入っていった。

ヒザが痛いと言っていたのもどこへやらだった。

 

老人ホームに入っていた時、ある日から歩くのがおかしくなった。

外へ連れ出して一緒に歩くと、横断歩道の前でフラフラする。

どこかにつかまらないとダメなのだ。

半年ほど過ぎて、私も忙しくて差し入れを届けるのがやっとだった時期があった。

2週間ほどあまり連れ出すことができず、次の週に外食に連れ出した時、

ふいに倒れる。つまづいただけかな、と思い、また歩き出すと、

今度は止まらない。少し下り坂だったが、私も追いつくのが大変なほど、

どこかにつかまりながら、すごい勢いで歩いていく。

でもフラフラで、息が荒いのだ。

「もう少し遅く歩けばいいじゃないの」と言ってしまう。

 

突進歩行というのだろうか。

パーキンソン氏病かもしれない。

自分の知り合いにも、何人かいてそんな気がした。

でも特徴である手足の震えはない。

 

そして、今はとにかく歩くのが遅い。

ガニまたで、ちょこちょこ歩く。

動作が遅い。

 

これらの症状を調べているうちに、ひとつの病名にあたる。

 

『正常圧水頭症』

 

認知症の老人の10%程らしい。

だが、これを治療するL-Pシャント術を生み出した桑名信匡氏は、

医師に知られていないだけで、実際はもっと多いのではないかと言う。

 

症状がピタリとあてはまる。

脳に髄液が溜まりすぎる病気なのだ。

それが、脳を圧迫してバランス感覚を乱し、

認知症や頻尿などをおこしていく

実際、母の脳のMRIをみると、真ん中が黒く対称に抜けている。

こんなにみごとにわかるのに、なぜどの医者も指摘しなかったのだろう。

老人ホームでは、母が少しなにか伝えるだけで、

どんどん薬が増えていった。

もともと薬局が始めた老人ホームだったから、

週1回の診察で、不思議なくらい薬を出す。

 

ドネペジル→認知症症状の進行抑制

ゼチーア→小腸コレステロールトランスポーター阻害剤

酸化マグネシウム→胃酸を中和し、胸やけなどの症状を改善

エスタゾラム→睡眠障害などを改善する薬

セレコックス→炎症や痛みなどを抑え、熱を下げる薬

レバミピド→胃粘膜を保護・修復

トアラセット配合錠→中枢神経系に作用し、鎮痛作用

メトクロプラミド→消化管運動を促進させたりして、吐き気を抑える

イソプロビルウノプロストン→緑内障の点眼薬

 

これらを全部毎日服用していたのだ。。。

薬の飲みすぎで、またその作用の効きすぎを抑えるような感じもある。

便秘もなにもないのに(便秘には私が毎日のヤクルトを差し入れしていた)、

胃薬や、腸の薬。

眠れていたのに、睡眠薬。

少しヒザが痛いといえば、鎮痛薬。

薬はすべて対症療法で、根治に至るものではない。

薬の副作用には、ふらつくものもある。

 

ヒザが痛いならば、リハビリの体操をさせて欲しい。

ラジオ体操の正しいゆっくりバージョンをやって欲しかった。

散歩に連れ出して、陽に当てて欲しかった。

 

今は、緑内障の薬以外、ぜんぶやめている。

血圧も異常なし。

老人ホームはなんだったのだろう。

若いヘルパーさんが、必死に毎日、体温と血圧を測る。

なにを守っているのだろう。