ビジネスリーダーのための文章講座、講師の相島淑美です。
以前、適時開示情報の文章についてこう述べました。
「適時開示も〈書き方〉によって株主様に与える印象がかなり変わります」
そのとき、ある方から
「たとえば冷蔵庫に賞味期限切れの食品があったとして、
それを『熟しきって深い味わいがある』と表現するということですか」
と聞かれました。(たとえがIR的ではないのですが・・)
あなたはどう思われますか?
そのとおり!ですか、違うんじゃない?ですか。
もし「違う」と思われたら、よりよい表現をお考え下さい。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
いいでしょうか?
では、私の考えをお話しますね。
私は、そうは考えていません。
賞味期限切れ商品は、どうしたって賞味期限切れです。
それをあいまいに言い換えて印象操作をしようとするのはモラルに反します。
(投資家様には誠実に、正直に、を貫くべきです。
それを違えると、信頼を失います。)
ですから、賞味期限切れであることは正直に書きます。
ただ、私ならばそこで
・なぜ賞味期限切れまで残しておいたのか。(誰かに食べさせてあげるつもりだったが
当人が帰ってこなかった?とか。以前、先に食べたら怒られた、とか)
・どうして賞味期限内に食べきる量を買わなかったのか。(正当な理由があれば)
・賞味期限切れの商品や作り手に対する申し訳なさ
をきちんと書き込むでしょう。
つまり、その事象の「背景・経緯」を書くということです。
文章から当人の姿勢が伝わるように工夫することも大事です。
賞味期限切れだっていいじゃないか!
ではなく、
期限内に食べられなくてごめんなさい、
という思いです。
そういう「思い」はストレートに書くよりも、
文章の表現で感じさせるほうがスマートですね。