石巻にて一軒家の家具出しと、泥のかき出しを終えた私と先輩。



居酒屋に入り、ぽちり、ぽちりとその日のこと、そして次の日のことを話していました。




「明日、どうするかね・・・」




「明日も、石巻に行ってみようか・・・」




「亘理町まで行けないかな・・・」




そんな中、私たちの中には一つの想いがありました。



それは、、、



演劇。



今まで自分たちの核をなしてきた演劇というものの意義は、地震によってもろくも崩れていました。



「無くても生きて行けるもの」



それをつきつけられたんです。



でも・・・



こういう状況の中、何が自分に出来るのかと考え続けた結果が、演劇だったんです。




そう思った私と先輩は、東北に行く前に、一つの作品を作りました。



二人だけの、おしばい。



題名は、『ながくつしたのピッピ』。



おてんばで、型破りで、力もちで、やさしいおんなの子、ピッピ。



小道具も、セットもなし。



東北でこれをやれるのか・・・



それどころじゃないって言われるのかな・・・



不安いっぱいでしたが、とにかく作ったのです。



すると・・・



居酒屋にいた周りのお客様、それからお店のご主人が背中を押してくれました!!



「あなたたちにしか出来ないことをしなさい」



そうして、仙台ボランティアセンターを教えてくれました。



仙台も、駅前はすっかり元通りになったようですが、海沿いはまだまだ被害が大きいそうなのです。




私たちは、海沿いを目指すことに決めました。




つづく。