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英語の先生のための英教塾 指導法トレーニング

英語の先生向け指導法&発音トレーナー。日本で成人後英語を習得。米国大学院で英語教授法 (TESOL) の修士号を取得。現地の大学等で30ヶ国の人に英語指導。現在、英語の先生に4技能や英語のみの指導法、発音など指導中。兼大学講師。また、講演や研修も実施。

【(Listening)生徒のレベルを上げるためにどんな方法や情報を参考にする?】

 

久しぶりの投稿です。昨年ホームページやブログなど大きく変えようと、

ブログの投稿をストップしておりまして、お待ちいただいていた方、申し訳ございません。

 

英語教育業界ではセンター試験に代わる共通テストの方針の変更など、

大きな変化があり、今後の教育事情を考え、ホームページを時間をかけて

作り直そうとしているところで、まだ完成しておりません。

 

ホームページに合わせて待っていますと、なかなかブログが更新できないため、

しばらくの間、こちらで投稿していこうと思います。

 

以前は、「毎回ブログの内容を印刷してファイリングして勉強しています」

というお声もいただいておりました。

 

今後もお役に立てるような内容を書いていけたらと思います。

よろしくお願いいたします。

 

 

 

教員セミナーに参加すると、

 

「○○をすればリスニングができるようになる!」と話を聞いたり、模擬授業を体験する機会があります。

 

現在は、指導するにあたってYoutube, facebook, blog, homepageなど、インターネットで参考にすることもあると思います。

 

インターネットで情報を見つけると、そのままやってみようと思う先生も多いかもしれません。

 

しかし、「参考にしたんだけど、なかなか指導でうまくいかない」と、多くの先生からご相談を受けます。

 

 

そこで今日は、

Listeningについて、生徒のレベルを上げるためにどんな指導法や情報を参考にしたらいいのか?『選ぶ基準』についてお話をしたいと思います。

 

 

 

1.伝えている人が誰なのか?

インターネットには誰でも情報を公開することができます。情報が信ぴょう性があるかどうかを見極めることはとても重要です。これは、英語教育に限ってのことではないですね。

 

伝えている人が誰なのか、名前を確認できたら、その人のこれまでの学習歴や学校などのバックグラウンドを確認しましょう。

 

例えば、「私が1年でTOEICのリスニングが○○点から△△点にアップした方法」という記事があったら、その人は英語の指導者ではなく、英語学習者です。

 

英語学習者は、あくまでその人個人がうまくいった方法で、様々なレベルや、学習経験を持った人でも有効な方法かはわかりません。その人だからその方法があっていたという可能性が高いです。

 

指導者は一部の生徒だけでなく、多くの生徒に有効なものを指導として使う必要があります。

個人の体験に基づいた指導ではなく、多くの生徒に実施して有効なものを探しましょう。

 

 

 

2.どんなタイプのリスニングができるようになるのか?

 

リスニングと一言で言っても、様々なタイプがあります。どんなものをリスニングできるようにするのかしっかり確認しましょう。

 

【素材】

 

1対1の会話、数名の会話、インタビュー、一人の人が話すモノローグ(ニュース、案内、電話の留守電、レクチャー、プレゼンなど。)もちろんレベルも、長さも、話す内容、テーマも様々です。

 

聞く素材が違えば聞き方は変わります。特に、会話と一人の人が話すモノローグでは聞き方が大きく異なります。

 

ずっとニュースを聞いていても、会話を理解するのが難しいという話はよく聞きます。

会話を聞き取れるようにしたければ、会話を使って指導すべきですね。

 

 

 

 

3.どんな目的でリスニングするのかが明確に示されているか?

 

リスニングができるようになるには?

 

では、幅が広すぎます。

 

一言でリスニングと言っても、実際は様々な目的でリスニングします。

目的が異なると、聞き方が変わります。

 

【目的】

リスニングをする際、目的は様々です。

 

例えば実際の英語の環境、そして様々な4技能試験では、

 

  • 要点を理解する
  • 必要な詳細情報を聞き取る

 

が主に必要なスキルになります。

 

 

 

一人の人が話すモノローグの要点を取るのであれば、モノローグ独特の話の筋を理解し聞き取る指導が必要です。

 

話の筋を理解するには、『英語の論理性』 を理解しなければなりません。 

このためには一語一句にこだわらず聞く必要があります。

 

 

しかし、詳細を聞きとる時には、一語一句にこだわって聞く必要があります。

 

 

ある程度の量のものについて、話の筋を理解しながら詳細を聞き取らなければいけない場合は、

全体として話の筋を理解する聞き方をし、必要な情報を聞き取るパートで、集中して一語一句聞くという組み合わせで聞きます。

 

 

また、会話での話の筋を理解する時には、話の展開がモノローグとは異なり、その会話に出てくる人たちの話す内容に応じて展開していきます。さらに、詳細情報を聞き取るには、そのための指導は変わります。

 

会話でのリスニングで、話の筋を理解する、詳細を聞き取る、そしてその2つのコンビネーション、それぞれ指導する必要があります。

 

 

 

4.それぞれの素材で、それぞれの目的に合わせて、実践方法が明確に示されているか?

 

上で述べたように、異なる素材で、それぞれの目的に合わせて指導を変えることが重要です。

 

【実践方法】

 

例えば、モノローグで話の筋を理解させるためには、上で述べたように、英語の論理性(話の展開の仕方)を教える必要があります。

 

量が多くなれば、またレベルが高くなれば、英語の論理性がわからないと厳しくなります。レベルの高い試験では、一回しか聞くチャンスはありません。実際に人の話を聞く時も同じ状況です。論理性がわからなければ話についていけなくなり、詳細を聞き取るどころではありません。

 

 

リスニングで有効とされる方法として、よくインターネットでも紹介されるのは、

 

  • 音読
  • ディクテーション
  • シャドーイング

などがあります。

 

しかし、これらすべて、詳細を聞き取る方法で、論理的な展開のあるモノローグの話の筋を聞き取るためのリスニング方法ではありません。

 

ですから、本来、

 

話の筋を理解する練習をする

詳細を聞き取る練習をする

 

という流れがリスニング指導で有効な流れです。

 

 

細かいことを聞き取る練習ばかり、生徒に実践させると、要点がつかめないという問題は解決できませんね。

 

日本人ではこのような人がとても多いと感じます。

 

 

 

【方法の有効性】

 

クラスや生徒に合わせて、効果的な方法を実践しましょう。

 

例えば、ディクテーションについて、インターネットでは、様々な人がお勧めしています。

でも効果があるディクテーションとあまり効果がないディクテーションがあるのをご存じですか?

 

シャドーイングも、お勧めできる人とやらない方がいい生徒がいます。

 

方法の名前が前面に出てしまい、いいものだと思って十分確認せずに生徒にやらせると、長期間練習し続けているのに、効果が出ないということに陥ります。

効果が出ない理由もちゃんとあるのですが、ここでは書ききれないために触れません。また別の機会に触れることにしますね。

 

 

5.まとめ

 

自分が選ぶべき情報、方法なのかを見極めるのは簡単でないかもしれません。

 

しかし、良さそうに見えてもすぐに使うのではなく、有効かどうかを検証してみてください。

 

最後に、効果的だと思って指導していたのに、ずっとやっていても効果が感じられなければ、自分を責めないことです。

 

自力で解決できなければ、指導を仰ぐようにしてください。指導を効果的にされている先生にアドバイスを求める、しっかり習うことも大切です。

 

 

先生という仕事をしているからと言って完璧に理解し指導できるわけではありません。

 

特に、これまで実用的な4技能の指導をしていらっしゃらなかった先生にとっては、実用的なリスニングの指導にはまだ慣れていないかもしれません。私が主宰する先生のための英教塾で学ばれている先生も同じ状況でした。でもどの先生も一生懸命学ばれて指導力を高めていらっしゃいます。

 

うまく教えられないことは、決して恥ずかしいことではありません。できないことをそのままにせず、しっかり理解しできるようになれば、その先生の努力のおかげで、生徒の力が付きます。

 

 

より良い指導を目指して頑張っていきましょう。