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英語の先生のための英教塾 指導法トレーニング

英語の先生向け指導法&発音トレーナー。日本で成人後英語を習得。米国大学院で英語教授法 (TESOL) の修士号を取得。現地の大学等で30ヶ国の人に英語指導。現在、英語の先生に4技能や英語のみの指導法、発音など指導中。兼大学講師。また、講演や研修も実施。

【4 Skills】2技能で高いスコアを生徒に取らせたければ4技能を教えた方がいいワケ

 
 
センター試験に代わって、今後共通テストが実施されます。
Listening とReading の力を見る試験となり、4技能の試験ではなくなりました。
 
生徒からは
 
「4技能やらなくていいから負担が軽い」
 
 
先生からも
 
「教える負担が増えなくてよかった」
 
という声が聞こえてきます。
 
 
しかし、本当に2技能の試験で、2技能だけ勉強したほうが高いスコアが取れるのでしょうか。
 
答えは NO  です。
 
同じ2技能試験でも、4技能を勉強した生徒の方が高い点数が取れます。
 
 
実際、早稲田大学の文化構想学部の先生が様々な講演で入試と受験生のスコアについて
お話をしていました。
 
 
4技能試験(TEAP)を受験した後、本試験(2技能)を受験した学生と、
本試験しか受験しなかった学生で、
4技能試験のために勉強して本試験を受験した学生の方が
圧倒的に平均スコアが高かったとのことでした。
 
 
自分自身も、昔2技能しか教えなかった時代がありました。
その後4技能を教え始めると、生徒は2技能を教えていた時よりも短期間で
英語力が上がっていました。
 
でもこれらは当然の結果だと思います。
2技能だけを勉強するよりも、4技能を勉強して4技能力をつけたほうが、
2技能の力も高まる。
 
結果、4技能学習者の方が、2技能の試験でもスコアが高くなる。
 
 
でもそれはなぜでしょう?今日はこの理由についてお話します。
 
 
今回のお話の概要
 
1. 多くの感覚を使った方が記憶が定着しやすいから
2.SpeakingとWriting をしたほうがListening とReading が簡単になるから
3. 4技能で関連付けて理解しやすく覚えやすくなるから
4. まとめ
 

 

1. 多くの感覚を使った方が記憶が定着しやすいから

 
Listening は耳を使って聞く
Reading は目で読む
 
と2つの感覚をメインに使います。
 
しかし、4技能となると、さらに2つ加わります。
 
Speaking は口を使って話す
Writing は手を使って書く
 
人間は様々な感覚を使った方が記憶を定着させやすいと言われています。
 
特に、知り合いの脳科学者はよく言っています。
 
「記憶を定着させたければ、声に出す」
 
音も、単語も、表現も、文も、声に出した方が覚えやすいわけです。
 
私は、聞いて、話して、読んで、書いて、4技能を使って覚えるように
指導しています。
 
4技能を使って、単に単語だけではなく、文法だけでなく、
可能な限り文で覚えるように指導しています。
 
大学で教えると、記憶力がない、語彙が覚えられないという多くの学生に言われます。
 
「声に出した方が覚えられる」
 
理論上も、実際にも言えることということです。
 
 

2.SpeakingとWriting をしたほうがListening とReading が簡単になるから

 

4つの技能はこのように大きく2つのタイプに分けられます。
 
Type 1: 受け取る(receiveする)
Listening → 耳で受け取る
Reading  →   目で受け取る
 
Type 2:  生み出す(produceする)
Speaking → 口で生み出す
Writing  →   手で生み出す
 
 
2のうち、不可がかかり難しいのは、Type 2 の生み出す方です。
 
口でも手でも、文を生み出すには、一から生み出さなければいけないので負荷がかかります。
でも、生み出すまで練習するとただ受け取るだけの方が簡単になります。
 
When it rains tomorrow, the game will be canceled. 
と自力で書けるなら、この文を読んで理解するのは非常に楽ですね。
 
 
ですから、4技能を勉強していたほうが、2技能が簡単になり、
2技能だけ勉強している生徒より試験のスコアが上がるのはとても自然なことです。
 
 
 

3. 4技能で関連付けて理解しやすく覚えやすくなるから

 

2技能だけ勉強しているより4技能を勉強している方が、
同じ語彙、表現、文法に多く出会います。
 
よって、
readingをしている時に、
「あ、この単語、○○についての会話練習で出てきた単語だ!」
ということが、2技能だけしか勉強していない時より頻繁に起こります。
 
よって、4技能それぞれでできたものに多く出会うことで、理解力と記憶力が高まります。
 
 
英語教授法の理論で、
 
4技能を織り交ぜて(integrate)して指導したほうが、学習の定着力が上がる
 
という理論があります。
 
これまでこの理論を実践して、私も生徒も大きな効果を実感しています。
 
 

4. まとめ

 
ここまで、4技能を勉強したほうが2技能の試験でもスコアが取りやすい理由をお伝えしてきました。
 
「でも4技能を勉強するほうが時間がかかるから効率が悪い」
 
という意見も多くの学習者と先生からもらいます。
 
でも、上で述べたように、2技能だけしか勉強していない方が、覚えが悪くなるわけですから、
授業でやっても覚えさせるのに時間がかかる、復習に時間がかかるという状況になります。
 
そのために、テストをしてもいい点数が取れない ということになるわけです。
 
 
一見、4技能を教える方がより時間がかかるように思えても、
 
「急がば回れ」
 
の精神で、生徒が覚えやすく定着しやすい教え方にしましょう。
 
 
そして、大学に合格した後、入学すると、
多くの特に私立の大学では4技能の必修クラスが待っています。
 
いきなり単位を落とすことなく、
スムーズに大学の英語クラスの授業が受けられることにもつながります。
 
文科省からも言われている4技能指導を実践してください。