とある女性から、ずいぶん久しぶりに突然の電話があり、
何年か前に私があるところに書いた文章の中から、自分の名前を消して欲しいと仰る。
私自身、彼女の名前を書いた記事自体が咄嗟には思い浮かばず、その文章のリンクを送ってもらうように頼んで電話を切った。
送られてきたリンクを見ると、私が彼女のスタートした事業をささやかながら応援する紹介記事だった。
人生いろいろなことがあって、転変・変遷していくものだから、変化すること自体に良いも悪いもない。
当時よりずいぶんと事業が大きくなったのか、「イメージコントロール」をすることにした、と彼女は言ったが、ほぼ誰も読むことのないような数年前の小さく好意的な文章を、探し当てて消してくれと彼女が電話してきたのは、ちょうど我が家の晩ご飯どきだった。
時間帯も内容も感性も、まったく別の世界にいるらしい人と、もう繋がっていてもどうしようもないのだし、このような関係性が亡霊のように一瞬浮かび上がって完全に消えるというのは何かスッキリとケジメが付くようで良いと思い、SNSの繋がりを全て削除してパソコンを閉じた。
過去は変えられる。互いの思うがままに。