【連載自宅出産3】1人で陣痛のピークを迎えた結果 | 専門性を高めるプロ向け英語コーチング

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【連載自宅出産1】寝室で夫氏がキャッチした娘
【連載自宅出産2】いよいよ強まる陣痛 自宅で1人 宇宙を貫く集中力

おや?お腹がしくしくするね?

と気づいて目が覚めたのが朝7時半

息子の入園式は欠席することにして

保育園に持っていくお弁当を作り始めたのが8時

携帯で助産師さんに連絡






陣痛の合間にキッチンに立ち

陣痛が来れば「うう~ん」と椅子に腰掛け

波が引いたらおかずの続きを作り

そんな陣痛弁当が出来上がる8時45分頃には

陣痛間隔3分

・・・3分?!

この朝

実は

満潮が午前9時半

今回の妊娠では潮の満ち干と

月の引力をとても如実に肉体で感じていたので




潮が引くとともに

この陣痛も引くのかしらとどこかで思っていたけれど







いよいよもうこれは

引きそうにない







息子と夫氏を送り出して

ベッドに入ったのが午前9時過ぎ





そこから

たった1人






思う存分

太古の昔から連綿と続く

「産み」の営みを





何もかも明け渡して

肉体も

思考も

残らず全て

強烈な情熱のようなものに委ねて







もう

委ねるほかない

開いて

開いて

開いて

押し開けられていく









圧倒的な存在が

私の

殻を突き破ろうとしている





私の殻も鎧も

何もかも

押し流して







まっさらな次元へと

否応なく

私を引き連れて









私の思考よりも

激烈に大きなものが

私の肉体も心も

全て満たしきって






「いま」という

瞬間の連続







私の全宇宙が

めまぐるしい

「いま」の連続に

その渦の中に

引き込まれて

いくと同時に

無限に拡がっていく











見えないのに

こんなに強烈

感じられるのに

まだ見えない






私に声を出させ

汗をかかせ

呼吸のコントロールを

超えて喘がせ

じりじりと一波ごとに

極限状態まで

私を導いて

ただただ

恐怖もなく

私は

圧倒的な

いわば

畏敬の念だけで

自分の肉体を手放す

すると開く

大きな波が押し寄せてくるごとに

ただ息を吐いて

はああああああ

声も出して

楽器になる

働きかけに応えて音が鳴る

そんな

見えないものとのやりとり






未知の領域にまで

押し拡げられる自分

知らない声が出て

知らない世界に入って

知らないものが見えて

やがて

未知の

無限の未来を抱いた人が

産まれる








「陣痛」は

やはり

「神通」

なのでしょうか






瞑想一千時間分

だったのか

超越経験







あれから2年を過ぎた今でも

まだ

私の中で

拡がり続ける

あのとき垣間見た

未知の部分








これが私の経験した

「女の産みの営み」

です








この極限の

陣痛神通瞑想状態も

1時間ほどのこと







大慌てで10時過ぎに

引き返してきた夫氏の登場とともに

やがてそれは喜劇になってゆく

人生は

シリアスなだけでは終わらない










その日も桜が満開でした









つづく